視野角200度 超ド級HMD Pimax 8k Plus を試す
OculusシリーズやVive シリーズが視野角110度程度に対して、人の視界とほぼ同じ視野角200度を謳うHMDであるPimax 8k Plusを手に入れました。ファーストインプレッションをまとめます。
Pimax 8k Plus
中国のPimax Technology社が出した高機能HMD(ヘッドマウントディスプレイ)です。私はクラウドファンディングで手に入れました。
現在購入は、下記の公式サイトから輸入するか、MoguraVRからの購入が出来るようです。
スペック
Pimax 8k Plusは、HTC VIVEベースステーション 1.0/2.0に対応しているHMDです。
VIVEシリーズや、VALVE INDEXとHMDの置き換えだけで動かせます。
ざっくりとしたスペックを、現状の対抗馬となりそうな機種と比較して、並べてみました。
PIMAX 8k plus | Vive Cosmos Elite | Oculus Rift S | VALVE INDEX | VIVE Pro | |
---|---|---|---|---|---|
解像度(片目) | 3840×2160 | 1440×1700 | 1280×1440 | 1440×1600 | 1440×1600 |
リフレッシュレート | 90Hz | 90Hz | 80Hz | 80~144Hz | 90Hz |
視野角 | 200度 | 110度 | 115度 | 130度 | 110 |
ディスプレイ | 液晶 | 液晶 | 液晶 | 液晶 | 有機EL |
サブピクセル | RGB | RGB | RGB | RGB | ペンタイル |
トラッキング方式 | アウトサイド・イン | アウトサイド・イン | インサイドアウト | アウトサイド・イン | アウトサイド・イン |
外部センサー | 必用 | 必用 | 不要 | 必用 | 必用 |
トラッキング | 6DoF | 6DoF | 6DoF | 6DoF | 6DoF |
価格(円) | \105,000※1 | ¥120,990 | ¥49,800 | ¥138,380※2 | ¥101,520※3 |
IPD調整 (瞳孔間距離) | 物理調整 | 物理調整 | ソフトウェア | 物理調整 | 物理調整 |
スピーカー | イヤホンジャックのみ | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 |
視力換算 | 0.38 | 0.22 | 0.19 | 0.18 | 0.18 |
※2:VALVE INDEXの価格はVALVE INDEX VR KITを参考にしています。Base Station 2.0と専用コントローラ付き。
※3:Vive Proの価格はスターターキットを参考にしています。Base Station 1.0と専用コントローラ付き。
現在、一般人が入手できるHMDとしては、化け物的なスペックです。
視力換算は、下記の記事にまとめていますが、ざっくりとした目安なのですが、Oculus Rift Sの倍近く高精細となる計算です。
Pimax 8kシリーズ
HTC VIVEベースステーション 1.0/2.0に対応しているHMDです。
VIVEシリーズや、VALVE INDEXとHMDの置き換えだけで動かせます。
このシリーズの売りはやはり片目4k画質というところでしょう。
DisplayPort1.4を2本使うPimax 8k Xは、ネイティブで片目4k画質を実現できます。
Pimax 8k PlusやPimax 8kは、DisplayPort1.4が1本だけの接続のため、ネイティブでの8k画質を転送できません。視野角を最大にした場合は、5k相当(片目2560x1440px)の映像をHMD側でアップスケールして転送します。
Pimax 5kシリーズがあります。こちらの方がネイティブの表示が出来るためくっきりと見えるのかもしれません。
Pimax 8k plus | Pimax 8k X | Pimax 5K Plus(144Hz) | Pimax 8k | |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2020年4月 | 2020年4月 | 2019年4月 | 2019年6月 |
解像度(片目) | 3840×2160 | 3840×2160 | 2560×1440 | 3840×2160 |
リフレッシュレート | 90Hz, 110Hz | 90Hz | 144Hz | 80Hz |
視野角 | 200度 | 200度 | 200度 | 200度 |
ディスプレイ | 液晶 | 液晶 | 液晶 | 液晶※1 |
サブピクセル | RGB | RGB | RGB | RGB※1 |
価格(円) | $899 | $1,299 | $699 | $899 |
IPD調整 (瞳孔間距離) | 物理調整 | 物理調整 | 物理調整 | 物理調整 |
スピーカー | イヤホンジャックのみ | イヤホンジャックのみ | イヤホンジャックのみ | イヤホンジャックのみ |
視力換算 | 0.38 | 0.38 | 0.25 | 0.38※1 |
必要ポート | DisplayPort1.4 USB2.0/3.0 | DisplayPort 1.4×2 USB2.0/3.0 | DisplayPort1.4 USB2.0/3.0 | DisplayPort1.4 USB2.0/3.0 |
必要スペック | CPU:intel i5-9400 GPU:NVIDIA RTX2060 memory:8GB | CPU:intel i5-9400 GPU:NVIDIA RTX2080 memory:8GB | CPU:intel i5-4590 GPU:NVIDIA GTX1070 memory:8GB | CPU:intel i5-4590 GPU:NVIDIA GTX1080Ti memory:8GB |
2019年に発売のPimax 8kはペンタイル方式なので、実効画素数が√(2/3)=0.82倍になります。2020年のモデルはフルRGB化していますので、実効解像度は上がっています。(’20/6/3修正しました。Pimax 8kのディスプレイは液晶です)
内容物
箱の中には、下記が入っていました。
- Pimax 8K Plus本体 x1
- ケーブル x1
- アダプター x1
- ストラップ x1
- ダストクロス x1
- 取扱説明書 x1
説明書
日本語で書かれている物が同封されています。
本体
箱を開けると、デーンと鎮座していました。
青紫?の筐体はプラスチックでできており、安っぽさを感じます。
バーチャ〇ンやら、そっち系のイメージなんでしょうか。微妙にカクカクしたデザインです。
本体の上部右側に、電源ボタンと、ボリュームボタン(音量)があります。
本体の下側中央には、USB type-Cのコネクタが。これは、拡張機能用に付けてあるようです。
ハンドトラッキング用のオプションが発売予定のようです。
顔に当たる面には、左側にイヤホンジャック、右側にIPD調整ダイヤルがあります。右側にも3.5mmのジャックがあるのですが、イヤホンを繋いでも音は出ません。マイク用でしょうか。確認できていません。
ヘッドストラップ
Oculus Rift SやVive Cosmosのようなしっかりと支えるタイプではありません。Oculus Questと近い形の、ゴムバンドです。コストはかけていませんね。
左右の取り付けは簡単です。本体の取り付け部分に通すだけ。
Pimax 8k Plusの上部の取り付けは、かなり苦労しました。ピンセットで摘まんであげて、下の写真のように一部が出せれば、後は簡単です。
折り返して面ファスナーで止めるだけです。
ヘッドストラップは、OculusシリーズやVIVEシリーズと比べると、あっさりとした作りです。
レンズ(本体)
接顔パーツを外したOculus Rift Sと並べてみました。親と子ほどにレンズの大きさに差があります。
横幅も倍くらい違いますね。
ケーブル(本体)
本体から伸びたケーブルが、キレイに箱に入っていました。
ケーブルは本体直付けです。純正オプションでケーブルのみ交換できるようなので、頑張れば取れるのかもしれません。
接続は、DisplayPortとUSB Type-Aです。スペック上はUSB2.0で使えるようです。
DCアダプタ
VIVE Cosmosと同じように、12VのDCアダプタが付いてきます。
VIVE Cosmosのアダプタと並べてみたところ、Pimax用の方が少しだけ小さいようです。
Pimax 8k Plus本体から伸びたケーブルに、DCアダプタを差すジャックがあります。
差す向きが本体側になるため、少しごちゃごちゃとします。
フェイスクッション
フェイスクッションは厚さがあり、着け心地は良いです。
面ファスナーでの取り付けです。引っ張ると簡単に撮れます。
フェイスクッションの裏面は前面が面ファスナーになっています。
着け心地
ダイソー生首に取り付けてみました。デカい! 何というインパクト!!
耳の上部に当たる部分のヘッドストラップが、膨らんでいないため、大きめのヘッドホンでも問題なく使用できます。
フェースクッション部分が広範囲に当たるため、意外と着け心地は良いです。
使用感
昔思っていた、仮想現実(VR)の世界がありました。
前知識なしにVRと聞いて、潜望鏡のような視野を想像する人はまずいないでしょう。その世界に近い視野があります。
もっとも、人間の視界を再現できている、とは言いません。Oculusシリーズが潜望鏡なら、Pimaxシリーズは水中ゴーグルくらいに視野が広くなったイメージです。
下は、Pimax 8k Plusと、Vive Cosmos、Oculus Rift Sの、左側の視野を、QooCam 8kで撮影した画像です。視野の広さが分かるでしょうか。
Oculus版アプリを動かす
SteamからOculus系のアプリを動かすためのアプリReviveをインストールします。Reviveについては下記の記事に書いていますので、ご参考までに。
さて、このPimaxは独特の視野角を持つHMDです。
この視野角に対応していないアプリは、表示が変になったり、そもそも起動しなかったりします。
ちなみに、Oculusシリーズは現状視野角110度前後です。Oculusシリーズ向けのアプリは、Pimaxシリーズのドデカい視野角には対応しきれないようです。
実際に、試した中では下記がおかしくなっていました。
- Revive越しのOculus版BeatSaber ⇒ 起動後硬直
- Revive越しのOculus版Climb ⇒ 左右の視野の角度がおかしく調整不可
BeatSaberでは、下のスクリーンショットでは床に埋まって固まりました。
これらの不具合は、下記の設定を変更することで解決できます。
Oculus版アプリが正常に動かない場合の対応方法
Oculusアプリの設定
OculusアプリのHMDのグラフィック設定を「自動」にする必要があるようです。これが、「品質を優先」や「パフォーマンスを優先」になっている場合、Pimax 8k Plusの視野が確保できないばかりか、左右の絵がずれたりと、とんでもないことになることがあります。
この設定を変更した後は、一度Oculusアプリは再起動した方が良いでしょう。
PiToolの設定
対応するための一番確実な方法は、PiToolの「設置」⇒「ゲーム」の中にある、「視野角」を「小さい(Small)」か「非常に小さい(Poteto)」にしてあげると、正常に動きます。
当然、視野角は狭くなりますので、Pimaxシリーズの存在意義が問われます。救いとしては、Oculus Rift Sよりはきれいな画面で遊べます。
まとめ
200度という高視野角のHMD Pimax 8k Plusを購入しました。
これを体験するまでは、「視野が狭くても、画素密度を上げた視力換算で重要!」と思っていたのですが、視野の広さも没入感に大きく影響していると感じました。
何より、頭を固定したまま、周りを見回すことが出来る、という実世界では当然できることが、VR内でもちゃんと体験できるのです。
さて、今回私はPimax 8k Plusを購入しました。Pimax 8k Plusは5k映像(2560 x 1440px)を引き延ばしているため、文字などはぼやけてしまっています。くっきりした映像を得るのならば、Pimax 5k Plusでも良かったかもしれません。
ディスカッション
コメント一覧
公式フォーラムでも誤解されがちなのですがPimax8Kはペンタイル配列ではないですよ
GだけフルでR/Bのサブピクセルを半分にするペンタイルはサムスンの有機ELのみの方式です
Pimax8Kの場合はRGBサブピクセルはすべて同数揃っています
ただしドット配置がチェッカー型で縦ラインのピクセル数が半分なのです
横ラインはフルピクセルですが
ご指摘ありがとうございます!
確かにご指摘の通り、Pimax 8kはペンタイル方式ではないようです。
勉強になりました。
pimax8k plusはpremiere proのAdobeイマーシブ環境用vrゴーグルとして使用可能でしょうか?
コメントありがとうございます。
ファームウェアアップデート前の素の状態で使った時には、凄く遅く気が萎えたため、それからadobeイマーシブ環境では使っていませんでした。
明日にでも試してみて、お知らせしますね。
キコ犬様
Pimax8k plusにて、Adobeイマーシブ環境を試しました。使用可能です。
昨晩の作業時にはトラッキングも問題なく、Pimax8k+の視野角設定を「大きい」にしても特に問題なく作業できました。
VR180映像で試しましたが160~170くらいが見えているイメージです。視野角200度は言い過ぎですね。
視野角が広いため、編集作業には良いように感じました。
もっとも、以前試して遅く感じた原因は不明なままです(Premiere ProやらPimax8k+のファームウェアやらいろいろ環境が変わってしまっているため)
早速試して頂いてありがとうございます!
pimax 8k plusとイマーシブ環境についての関連記事は他に中々無かったので大変助かりました。
視野角も200迄は無くても160〜170程有れば編集作業もやりやすそうですね。
夢が広がりますw
動作が遅い件はいささかの不安ではありますがpimaxの購入を前向きに検討致したいと思います。
キコ犬様
コメントありがとうございます。
少しでもお役に立てたのなら、何よりです。
VRライフを楽しみましょう!
Insta360 Evoで撮影した3D動画を見る事はできるのでしょうか。Evoで撮影した動画を見る用途でのヘッドセットを検討しているのですが、おすすめなどありましたらご教示いただけると嬉しいです!
連投すみません。ちなみにInsta360に問い合わせましたところ、推奨ヘッドセットはOculus Go, Vive Focus, Vive Focus Plus, Gear VR, Pico Goblin, Pico Neo, Pico G2, Pico G2 4Kとなり、これらのヘッドセットであればWifi経由で直接視聴可能とのことでしたが、Pimaxについては現時点ではサポートしていないという回答でした。
Naru様
コメントありがとうございます。
Pimax 8k PlusはPC用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)です。
記載いただきましたように、Insta360 EVOの映像を直接PCで見ることは出来ません。
PCで見るためには、Insta360 EVOで撮影した動画をPCに転送して、Insta360Studioでmp4等のファイルに変換してから見ることになります。
ちょっと手間はかかりますが、記載いただきました機種と比べると、高画質で見れるかと思います。
Pimax 8k Plusは公称値で片目170度と広い視野が特徴ですが、Insta360 EVOの画質に対してはオーバースペックです。
なお、Wifi経由では画質が4k画質に落とされます。また、例えばOculus Goは能力不足で5.7k画質は再生できません。
個人的にお勧めするのは、Oculus Questです。
PCで上記の作業をする前提になりますが、コストパフォーマンスが良いと思います。
出来上がった動画をUSB経由で本体に転送すれば、単体で5.7k画質の3D映像も余裕で再生できます。