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32スレッドCPU 「Ryzen 9 3950X」はPremirer Proで実力を発揮できるのか 5.7k動画で試した話

2020年6月19日DELL G,Insta360 EVO,PC,Premirer Pro,Ryzen 9 3950x,Windows10

一昔前は、Adobeのアプリと相性が悪いと言われていたAMD製のCPUですが、最近改善してきたと噂を聞きます。

16コア32スレッドという驚異の構成のCPU「Ryzen 9 3950X」はAdobe Premirer Proで実力を発揮できるのでしょうか。

5.7k画質180度3D動画をエンコードして検証してみました。

検証ハードウェア

Ryzen 9 3950XのPC

下記で紹介しているFRONTIERのBTOパソコンを使用しました。定格で動作させています。

パーツ名メーカー品番
OSmicrosoftWindows 10 Home
CPUAMDRyzen 9 3950X
メモリー16GB 2枚
GPUMSIGeForce RTX 2080 SUPER
マザーボードASROCKAMD X570 チップセット搭載マザーボード

比較用PC

2018年モデルのDELL G5です。動作は定格で行っていますが、メモリーを増設したり、GPU BOXをつないでみたりと、ノートPCでありながら、そこそこエンコードできる環境にしてきたつもりです。

項目メーカースペック
CPUIntelCore i7-8750H
memorySAMSUNG64GB
GPUNVIDIAGeForce GTX 1060 Max Q
GeForce RTX 2070(GPU BOX)

ベンチマーク比較

CPUの性能を比較するにあたって、最もよく使われているCINEBENCH(R20)を使用しました。

CINEBENCH(R20)

下記のマイクロソフトのサイトからダウンロードできます。バージョンによって、速度の指標が違うようですが、今回はRelease20を使用しました。

CINEBENCH(R20)の結果

参考までに、下記のサイトに載っていた結果も併記いたしました。

結果(マルチコア)

結果は、Ryzen 9 3950Xは、i7 8750Hと比較して、約4倍の処理能力があることが分かります。

また、今回の測定結果は、前述の比較サイトと同等の結果が得られていることが分かりました。

なお、CINEBENCHでは、i7 8750HはCPU温度は100度近くまで上がってしまいます。放熱性能不足で本来の性能が生かせないようです。ノートPCなので、限界があるのでしょう。

結果(シングルコア)

シングルコアでは、マルチコアと比べると、そこまでの差はありません。

せいぜい3割増しといったところでしょうか。

Premirer Proでの比較

比較に用いた動画は、VRカメラ「Insta360 EVO」で撮影した180度3D動画にVRマイク「ZOOM H3-VR」の音声を当て込んだ映像を出力してみました。映像時間は1分ジャストです。

Adobe Premirer Proではエフェクトを入れていません。

なお、動画は、Insta360 EVO独自規格の「insv」ファイルをInsta360のプラグインを介してAdobe Premirer Proに読ませています。ZOOM H3-VRの音声はAmbixフォーマットで録音した物を使用しました。

アプリのバージョン

Adobe Premiere Proを使って映像と音声をつなげた後、Adobe Media Encoder で出力しています。

Insta360 EVOで撮影した映像は、Insta360 Studioに添付されているPremiere Pro用プラグインから読み取っています。

メーカーアプリ名バージョン
AdobePremiere Pro 2020v14.0.0 (b 572)
AdobeMedia Encoder 2020v14.0 (b 556)
Shenzhen Arashi VisionInsta360 Studio 2019v3.4.2

今回は、上記のバージョンの物を使用して検証しています。それぞれのアプリのバージョンによって、異なる挙動を示す可能性があります。

エンコードの設定

設定は、H.264のソフトウェアエンコードです。

4k画質より大きい画質の場合、Adobe Premirer Proはハードウェアエンコードをしてくれません。プラグインを使わない場合、必然的にソフトウェアエンコードになります。

VR動画を編集する場合、現状ソフトウェアエンコードは避けて通るのは難しいです。

ビデオ設定

5.7k画質のソフトウェアエンコードです。VBR 1パスとしています。

オーディオ設定

4チャネルのAmbixの設定をしています。

エンコード時間の比較 その1

Ryzen 9 3950XのPCの方が、i7 8750HのPCよりもちょうど2倍、エンコード時間が早くなっているようです。

CINEBENCHでは4倍だった差が縮まってしまっています。

CINEBENCHとの差異は何処から?

CINEBENCHの結果では、4倍あったにもかかわらず、エンコード時間が2倍にしかならないのはなぜなのか。

エンコード中のCPU駆動率を見てみます。

まずはRyzen 9 3950Xから見てみると、下記の通り40~50%しか稼働していません。100%稼働しているコアが1~2個ありますが、他のコアは結構余裕を残しているようです。

メモリー・ディスクは変動していません。ここはボトルネックになっていないようです。GPUも何故か30%程度動いています。Insta360 EVOのPremirer Pro用のプラグインが稼働しているのでしょうか。

次にi7 8750HのPCについて見てみます。

前コアフル稼働に近く、90%程度で稼働しています。こちらもメモリー・ディスクは変動していませんので、ボトルネックではないでしょう。また、ソフトウェアエンコードにかかわらずRTX2070も50~60%程度で稼働しているようです。

以上のCPUの駆動状況から考えて、Premirer Proの駆動時には、Ryzen 9 3950Xは半分程度の駆動しかしていないため、CPUの能力差が4倍程度あるにも関わらず、エンコード速度は2倍程度に収まってしまったと言えます。

エンコード時間の比較 その2

ソフトウェアエンコードなので、GPUは関係ないはずですが、念のため、i7 8750HのPCのGPU BOXを外し、内臓のGTX1060のみでエンコードしてみました。

上記の結果のように、GPU BOXを接続しない方が、エンコード時間が短くなる結果となりました。

Ryzen 9 3950Xと比較しても、約1.5倍程度に差が縮まっています。

では、この時の駆動状況を見てみましょう。CPUは先ほどと同等の90%程度の駆動となっており、ほぼフル稼働です。また、メモリー・ディスクの変動は見られません。

対して、GPUの駆動が20%程度で落ち着いています。内臓GPUがGTX1060 max Qに対して、GPU BOXにはRTX 2070を積んでいます。より高性能なGPUをつないでいるにもかかわらず、GPU BOXをつないだ時には、GPU駆動率が50%を超えていました。ここが、エンコード速度の差に効いてきていると考えられます。

エンコード時間比較 ラスト

ディスプレイの表示がFHDと4kとで異なることが原因になるかもと思い、もう一度、GPU BOXをつなげて、ディスプレイをFHDとしてエンコードを行ってみました。

結果は、GPU BOXをつないだ状態では、ディスプレイは4kであろうとFHDであろうと差はありません。

原因の特定までは出来ていませんが、Thunderbolt3でのPCとGPU BOX間での通信がボトルネックになっていると考えて間違いないでしょう。

内臓のGTX1060 max Qで20%の駆動で済んでいるため、そこまで重たい処理はしていないはずですが、ソフトウェアエンコードを行う場合、Thunderbolt3で接続したGPUをつないでいると、エンコードが遅くなるようです。

まとめ

今回、Ryzen 9 3950Xを積んだPCでAdobe Premirer Proのソフトウェアエンコード速度がどれくらい早くなるのかを検証してみました。

結果、下記のことが分かりました。

Adobe Premirer Proでエンコード時のRyzen 9 3950Xの挙動

  • CPU性能差4倍に対して、エンコード速度は2倍にしかならなかった
  • Ryzen 9 3950Xはエンコード中に半分手を抜いている

エンコード時間に関しては、Adobe Premirer Proがマルチコアを使いこなせていない印象があります。

エンコード時間は、思ったよりも伸びませんでしたが、CPUが50%も空いている状態なので、他の作業を裏で行っても、処理落ちを感じません。

文字通り余りあるCPUパワーは、マルチタスクの助けにはなっているようです。

また、今回の検証の副産物として、Thunderbolt3で接続したGPU BOXをつないだPCでのソフトウェアエンコードが遅くなる現象を見つけました。

GPU BOXをつないだPCでのソフトウェアエンコード

Adobe Premirer Proでソフトウェアエンコードを行う場合、GPU BOXを接続した方が、4割程度遅くなる。

動画のエンコードには、高い性能のGPUを接続していた方が、より高速になるという、思い込みが覆されました。

CPUメインで行うソフトウェアエンコードの場合は、余分な機器は接続しない方が、CPUが作業に集中できるということなのでしょう。

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