VIVE Cosmos Elite をOculus Rift Sユーザー目線から見てみた話
先日、VR用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、VIVE Cosmos Eliteを購入しました。
使い方が競合するHMDであるOculus Rift Sを使用していますので、その比較をまとめていきます。
VIVE Cosmos Elite
VIVE Cosmosシリーズは、PCに接続するタイプのHMDです。その中でもVIVE Cosmos Eliteは、外部センサー(Base Station 1.0)でトラッキングを行うタイプのハイエンド寄りのモデルです。
外部センサーを設けることによって、HMDのカメラに映らなくてもコントローラがトラッキングできることから、
どんな角度でも高精度に
VIVE Cosmos Elite
という売り文句が付いています。
スペック
ざっくりとしたスペックを、現状の対抗馬となりそうな機種と比較して、並べてみました。
Vive Cosmos Elite | Vive Cosmos | Oculus Rift S | VALVE INDEX | VIVE Pro | |
---|---|---|---|---|---|
プラットホーム | PC接続 | PC接続 | PC接続 | PC接続 | PC接続 |
解像度(片目) | 1440×1700 | 1440×1700 | 1280×1440 | 1440×1600 | 1440×1600 |
リフレッシュレート | 90Hz | 90Hz | 80Hz | 80~144Hz | 90Hz |
視野角 | 110度 | 110度 | 115度 | 130度 | 110 |
ディスプレイ | 液晶 | 液晶 | 液晶 | 液晶 | 有機EL |
トラッキング方式 | アウトサイド・イン | インサイドアウト | インサイドアウト | アウトサイド・イン | アウトサイド・イン |
外部センサー | 必用 | 不要 | 不要 | 必用 | 必用 |
トラッキング | 6DoF | 6DoF | 6DoF | 6DoF | 6DoF |
価格(円) | ¥120,990 | ¥98,870 | ¥49,800 | ¥138,380※1 | ¥101,520※2 |
IPD調整 (瞳孔間距離) | 物理調整 | 物理調整 | ソフトウェア | 物理調整 | 物理調整 |
スピーカー | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 |
視力換算 | 0.22 | 0.22 | 0.19 | 0.18 | 0.18 |
※2:Vive Proの価格はスターターキットを参考にしています。Base Station 1.0と専用コントローラ付き。
前述のように、Vive Cosmos Eliteは高い解像度を持ったVIVE Cosmosに外部センサーを付けて、トラッキング性能アップさせた商品です。
同じ外部センサーBase Station 1.0を同封したモデルVIVE Proスターターキットよりも高価という、お財布に厳しい設定です。
視力換算は、下記の記事にまとめていますが、ざっくりとした目安と考えていただければ良いでしょう。
私自身、VIVE Cosmosシリーズと競合するHMDである、Oculus Rift Sを使っていますので、その比較を行っていきます。
コンバーターが便利、だが?
VVIVE Cosmos Eliteには、PCとHMD本体とを繋ぐコンバーターという名のコネクタが付いています。
このコンバーターからDisplayPortとUSBコネクタが伸びており、HMD本体はコンバーターにケーブルを差せば認識する仕組みになっており、意外と便利です。
対して、Oculus Rift SはHMD本体から伸びたケーブルがそのままDisplayPortとUSBに分かれる構造になっています。取り外すのならば、PCの裏にいちいち回らなくてはいけないという、不便な仕様です。
次に、VIVE Cosmosシリーズは、このコンバーターにDCアダプタを差す仕組みになっています。
このDCアダプタが意外に大きいのです。このDCアダプタはVIVE Cosmosシリーズ全般に使われているようです。
「無印VIVE CosmosとゲーミングノートPCで、スマートにVR!」とか思っているのならば、このDCアダプタは大敵ではないでしょうか。
この点、Oculus Rift Sは本体から伸びたDisplayPortとUSBをPCに差せばバスパワーで動くのでスマートです。
コントローラ
無印のVIVE Cosmosには、Oculus Rift Sと同じようなコントローラが付属するようですが、VIVE Cosmos Eliteに付属するコントローラーはBase Station 1.0に対応した前世代のVIVEコントローラです。
Oculus Rift Sに付属するコントローラと比べると、一回り以上デカい!
と思っていたのですが、個人的にケースを付けまくったOculus Rift Sのコントローラの方がデカかったようです。
何気に、VIVEコントローラの方が、Oculusのコントローラよりも物理ボタンが一つ少ない構造になっています。タッチパッド部分をボタンにあてがえば良いのですが、Oculus用のアプリなどで思った動作がやりにくいアプリがあったりします。
スピーカー
Oculus Rift Sはスピーカー用の穴が別途設けられていることもなく、そのままでは良い音とは言えない出来です。
対して、VIVE Cosmosは好きなポジションに固定できる、可動範囲の広いスピーカーが付いています。
回転軸に加えて、長さもコントロールできます。
スピーカーの付け根が、3.5mmのイヤホンジャックになっています。ここからスピーカーを外せば、好みのヘッドホンやイヤホンも取り付けることが出来ます。
スピーカーは標準品を使うのならば圧倒的にVIVE Cosmosの方が音が良いです。構造も良く考えられており、耳が疲れません。
なお、別途準備したヘッドホンを使う場合、Oculus Rift SもVIVE Cosmosもヘッドストラップが邪魔になるようです。
本体(ヘッドマウントディスプレイ)
VIVE Cosmos EliteのHMDはOculus Rift Sと比べると一回り大きいです。
どの方向から見てもVIVE Cosmosの方が一回り大きいです。
頭に固定する構造自身は、二機種とも大きく差はありません。VIVE Cosmosの方が、ベルトが太かったり、クッションがしっかりしていたり、着け心地は良い作りになっています。
装着イメージ
まずは、Oculus Rift Sの装着イメージです。
これに対して、VIVE Cosmosは、やはり一回り大きいために、存在感が大きいです。また、スピーカーがゴツイですね。
便利な構造としてWindowsMR機のように、VIVE CosmosはHMD部分の跳ね上げ構造があります。
この機能があるため、VR上で作業する場合と肉眼で作業する場合とが、楽に移行できるのは良いですね。
また、Oculus Rift Sはヘッドストラップがディスプレイ部に完全に固定されていますが、VIVE Cosmosは跳ね上げ構造のおかげで、若干の遊びがあります。このため顔への押し付け感はVIVE Cosmosの方が少なくなっています。
まとめ
VIVE Cosmos Eliteを購入しました。機能的には競合しているOculus Rift Sに対して、下記の特徴があるようです。
ディスプレイの見え方は、VIVE Cosmosの方がスクリーンドア効果が感じられない割には、文字が読み辛く感じます。バーチャルデスクトップとしては、Oculus Rift SもVIVE Cosmosも、同程度の距離間に画面を置かないと文字が読めません。
個人的に、VIVE Cosmos Eliteで初めて外部センサーでのトラッキングを味わったのですが、この滑らかさは別格だと感じました。Oculus Rift SやOculus Quest、WindowsMRも含めインサイドアウト方式はどうしてもトラッキングが引っかかる(見失う)場合が出てくるのですが、それが無い。このトラッキングを知ってしまうと、現状のインサイドアウト方式はまだ発展途上気味と言えるかもしれません。
- ディスプレイは若干精細(文字の読み易さは同程度)
- 音は良い
- 装着感が良い
- HMDの跳ね上げが使いやすい
- (Elite)トラッキング性能が抜群
- Oculus Rift Sはパスパワーで動く(VIVE CosmsはゴツいDCアダプタが必要)
- Oculus Rift Sはコンパクト
- お値段が安い
総じて、VIVE Cosmosを使ってみてOculus Rift Sの出来の良さを痛感しました。
Oculus Rift SはVIVE Cosmosの半分の値段です。この価格でこの機能を実現しているFacebookの本気を感じます。
VIVE CosmosとOculus Rift Sは値段ほどのディスプレイの差もありませんし、コストパフォーマンスは圧倒的ですし、何よりスマートさでOculus Rift Sが優れています。
激しい動きをトラッキングしたい場合は、VIVE Cosmos Eliteはお勧めできます。個人的には、外部センサーを使わない無印のVIVE Cosmosは、Oculus Rift Sに対してHMDとしての魅力をあまり感じません。HTCがVIVE Cosmos Eliteを出したのは、英断だったのではないでしょうか。
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