【VR】180度3Dカメラの選び方 ~VR180動画~
2018年から発売され始めた180度3Dカメラ。上の写真は私が撮影した写真です。このような臨場感溢れる動画が撮れる新しいカメラです。 何を基準に選べば良いのか、Vuze XRとQooCam、Insta360 EVOを持っている私の動画撮影で得た経験から記載致します。
180度3D動画の規格”VR180”について
2017年6月にGoogleが発表した規格です。
簡単に言うと、「360度動画は殆どの人が前しか見ていないので、前だけの動画にして3Dにしてみた」という規格です。
このように VR 動画は非常に強力なツールとなってきていることから、YouTube は 360 度動画 VR フォーマットを 2 年以上にわたってサポートしてきました。 昨今、VR 動画は バーチャル リアリティを体験する一般的な方法になっていますが、クリエイターや視聴者から、より手軽に制作したり視聴したいという声を多く聞くようになりました。そこで、YouTube は、Google Daydream チームと協力し、VR180 という新しい動画フォーマットを開発しました。この新フォーマットでは、VR コンテンツをより簡単に制作することができます。
https://youtube-jp.googleblog.com/2017/06/vr180.html
”2010年頃に流行った3D動画”とVR180が異なる点はこの二つです。
1.頭の動きに合わせて見ている映像が付いてくる
2.前半分の半球状の映像全てが記録されている
視聴する人にも、”何処を見るのか選択できる”点において、没入感が増す動画の規格です。
180度3D動画(VR180)の画質について
2017年6月にGoogleがVR180の規格を発表した後、2018年からVR180対応のカメラが発売され始めました。
これらのカメラについて、今一度VR180の規格を視聴する時の解像度について考えてみます。
VR180の特徴
VR180の映像の特徴は、下記の通り。
前半分の半球状の映像全てが記録されているのに対して、VRゴーグルはその一部だけを映している。
VRゴーグルの視野角が大体100度前後、映像として撮っている画角が180度です。
画素数の目安
コンシューマー向けのVRゴーグルの視野角は約100度程度が主流となっています。
計算を簡単にするために、視野角90度のVRゴーグル実際に目で見ている縦と横の画素数の目安を超乱暴に計算します。
90度 ÷ 180度 = 1/2
目安として、視野角90度のVRゴーグルで見える画質は、下記のイメージになるはずです。
動画の画質 | 視野角90度のVRゴーグルで見る画質 | ゴーグルの目安 |
HD(1440×1440の視野が2つ) | 720×720の視野が2つ | |
4k(2160×2160の視野が2つ) | 1080×1080の視野が2つ |
PSVR
HTC Vive
Oculus Rift
|
5.7k(2880×2880の視野が2つ) | 1440×1440の視野が2つ |
VIVE Pro
Oculus Go
Windows MR(初期)
|
と言うことは、4k画質のカメラであれ、HD画質にも劣るという事になります。少なくともFHD画質程度の画質を得ようと思うと、5.7k画質の撮れるカメラが必要です。
上記の表のように視聴環境がPSVR等でしたら、4k画質で十分という事になります。
画素数の落とし穴「ブロックノイズ」
しかしながら、数字では出てこないもう一つ落とし穴が。
VR180は、映像がブロックノイズで崩れやすい
このため、4k画質動画をPSVRで見るとブロックノイズが目立ちます。
ブロックノイズが目立つわけ
これらのブロックノイズが乗るメカニズムは、現状のカメラの保存形式に依存します。
映像の視聴手順として、
- 超広角レンズで撮影した円形の動画を圧縮保存する
- スマホやPCで視聴環境に展開する
という手順を踏んでいます。1.で円形の動画を圧縮保存する際に発生したブロックノイズが、2.で拡大されることになりますので、VR180ではブロックノイズが多々見られます。
カメラ側として、圧縮保存する際に円形ではなく正距方位図法に変換してから圧縮するモデルが出たならば、大きく画質が改善されると考えられます。
これは、ユーザーからの願いですね。 このブロックノイズを低減する為には、ワンランク上の画質のカメラを選ぶ他ありません。
180度3D動画(VR180)カメラについて
現在(2019/7/19)日本で入手できるVR180対応のカメラは下5種類です。
4k画質では”PSVRですら画質不足を感じる”点については前述の通りです。
機種名 | 価格 (’19/3/16 時点) | 最大解像度 | コメント |
LUCIDCAM | ¥53,858 | 4k @30fps | Amazonでは並行輸入で販売されています。 解像度と価格が釣り合いません。 |
Mirage Camera | ¥31,223 | 4k @30fps | 動画撮影時の発熱が問題視されています。 長い撮影には向かないでしょう。 手ぶれ補正は効いていないようです。 180度3Dを初めて見るには良いかもしれません。 |
QooCam | ¥48,500 | 4k @60fps | 手軽に撮影できる点が強み
AIでの強力な手ぶれ補正やディプスマップの作成など、 ソフトウェアに強みがあります。 4kは画質が物足りなく感じますが、 360度映像をコンテンツとして、 面白いクリップが作成できるアプリが魅力です。 録音は残念なレベルです。 |
Vuze XR | ¥59,500 | 5.7k @30fps | 高画質、手振れ補正は要PC Insta360 EVOと並んで高画質です。 手ぶれ補正が貧弱ですが、PCでレンダーすれば使えるレベル。 固定で撮影するならば綺麗な動画が得られます。 唯一、録音がまとも(スマホレベル?)。 |
Insta360 EVO | ¥56,570 | 5.7k @30fps | 高画質、手振れ補正に強み、HDR撮影可 Vuze XRと並ぶ高画質に、 強力な手ぶれ補正が入ります。 唯一の欠点は、録音が残念なレベルです。 |
ちなみに、現在の価格は下記の通りです。
なお、青文字にした3機種については、下記の記事にて詳細に比較しています。ご参考までに。
まとめ
まだまだ出始めたばかりのこれらのカメラ。
”今”を逃したくないと思っている人以外は、”待ち”が正解なのでしょう。
が、子供やペットなど、”今しか撮れない”映像を記録したい方ならば、購入して後悔しないと思います。
(追記:2019/7/10) 180度3Dカメラ、どれを買えばいい? 選択チャート 2019年夏版
下記の記事に、2019年7月現在での180度3Dカメラのうち、目的に合うカメラはどれかについてまとめました。ご参考までに。
ディスカッション
コメント一覧
初めての投稿です。
3DVR180は先月から始めたばかりですが、今ごろこちらの記事を見かけ、実に良くまとめられ
3Dに熱心なのに関心します。
先月VuzeXR を買って見たのですがWifi は繋がりにくいし手ブレもひどいので返却し、今はInsta360evo
を使っています。
画質は大体同じですが音質(音量)が小さく動画再生時にやっと聞こえます。 VuzeXRもやや小さめの音量
でしたがそれより小さいです。
鑑賞はOculus Goを使っています。
SonyのTD10(3Dカメラ)だと音量音質とも問題なしですが、この手の海外のカメラはこれで正常なんでしょうか? ただYouTube にアップすれば自動的に調整されて聴きやすい音になります。
よろしければお知らせください。
日高様
コメントありがとうございます。
私もInsta360 EVO、Vuze XR、QooCamそれぞれの音が小さいと思っています。スマートフォンのアプリで音声が編集できないのはいただけないですね。
一応比較を下記にまとめています。
https://kimono-oyaji.com/vr-insta360-evo-vuze-xr-qoocam-02/
なお、私の認識としてこの手のカメラは
1.写真メインのリコーTHETAシリーズからの流れ
2.GoProのようなアクションカメラからの流れ
の2種類から派生して商品化されています。どちらの商品群もハンディーカムと比べると、マイク性能は重視されていないのではないでしょうか。
カメラのサイズから考えると、スマートフォンと同程度のマイクしか入っていないように思います。風切り音もひどいですし、「使えない!」というレビューを見たことがあります。
また、比較対象としてご提示いただきましたSONYのTD10は、ズームマイクが内蔵されているようです。被写体の方向の音を集中して拾える使用になっているのでしょう。
360度カメラ、180度3Dカメラは周囲全体の音を拾うため、広がりのある音を拾う設計になっていると考えられます。結果、聞きたい音を集中して拾えないのだと思います。
Youtubeなどを見ていますと、360度カメラ、180度3Dカメラで撮影された映像にはBGMが挿入されていたり、別途マイクで拾ったであろう音声が入っている場合がほとんどです。
現状、この手のカメラで音を重視する場合、手間はかかりますが、別途録音した音と映像を合成するのが良いように思います。
以上で、回答になっているでしょうか。
お礼のご返事が大変遅くなり申し訳けないです。
今度はこのurlを登録しました。
それと実に細かいご説明ありがとうございました。
確かにvrカメラの音声面では不満はありますが、ま〜このようなカメラがあるだけでも今の時代は
ありがたいものです。
昔のフィルム時代は2台のカメラを分解しそれを材料にステレオカメラを自作していたものです。
私事になりますが今は年金暮らしに突入しあまり趣味に予算が取れない状況なので高価な編集ソフトも
手が出せず撮影したデータをそのままブルーレイや外付けハードディスクに保存が誠意杯です。
それで音声はそのまま聴いているだけです。
そのうち運良くVRが普及し編集ソフト価格が下がればと考えています。
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OculusGO もVRカメラメーカーの奨めでメルカリでやっと入手したばかりですがQuest のことは
気になっています。
ゲームは全くしませんし3D鑑賞だけで買うだけの価値があるのかどうか?
持ってない者からすれば何点か知りたいことがあります。
急ぎませんのでよろしければご返事かブログに掲載していただければ助かります。
①Goの場合接顔パッドを交換しても圧迫がすごくて装着跡が残るくらいでしたがQuest は更に重いので
もっとひどいのか、それとも装着感の改善によりいくらか楽になるのでしょうか。
②Insta360evo で撮影した動画をパソコンで見るとスムーズな動きに見えているのがGoで覗いてみると
カクカクとしたぎごちない動きになっています。
これはQuestではいくらか速くなっていますか。
③レンズ間隔調整機能がQuestにあるのは便利と思いますが、近くのものは撮影段階で近距離用のカメラで
ないと後からビュアーでなんとかなるものではない気がします。
それでも目の間隔個人差の解消には有効なのはわかります。
実際にはどうなんでしょう?
④有機ELとは良く聞きますが実際にはテレビでもスマホでも見た事がありません。
ネット情報の通りにクリアで色が綺麗に見えるものでしょうか。(高解像度の分逆にドットの目立ちすぎは?)
Goと比べた場合です。
⑤Goは⒌7Kの解像度を出してない気がします。
Questはその点で更にくっきり見えていますか?
⑥6Dofと言えばゲームなら喜ばれるのでしょうが撮影動画は関係ない機能ですよね。
それか2D映画鑑賞などの時に映画館にいる雰囲気でもそれが生かされているのでしょうか。
例えば座席から立ち上がった場合それに追従する映像に? 周りの座席などが。
一番良いのは撮影動画に反映される事ですが、ゲームのようには行かないでしょうね。
以上長々と書きましたが既にGoを持っている立場からはこのように気になっています。
嫁は収入を生まないVRに大反対で肩身がせまいですが、そのうちこれを人様に役立てることを
続けていけば徐々に理解は得られて来るものと思っています。
話は変わりますがSONYあたりがVRカメラとゴーグルを出してくれれば一番良いのですが 。
コメントありがとうございます。
Insta360 EVO等、お手軽に3Dに見えるカメラや規格が出来て面白いですね。
さて、例えば音声の音量だけノーマライズするのでしたら、VLC media playerを使ってみては如何でしょうか。
VLC media player
「メディア ⇒ 変換/保存」で、後は設定が必要にはなりますが、
映像は加工無し・音声のみノーマライズ、と言ったことが出来ます。
次に、Oculus Questの件ですが、詳細はブログに載せるとして、
Insta360 EVOの映像の見え方は、GoでもQuestでもそこまで大きく変わりません。
ただ、Questは処理能力が上がっているため、生ファイルがカクカクすること無く再生できます。また、USB3に対応しているため、本体にファイルを送る速度が3倍くらい速いです。
上記はこの記事 に少し書いています。
現状の感覚では、視聴だけならGoで十分だと思います。
ご回答ありがとうございます。
VLC media playerは1時間以上いろいろやっていますが、変換が上手くいきませんでした。
何回もやっていた中で1回だけ音量がかなり上がったことがあったのですが変換出力したものは
もとに戻っていました。
Questの生ファイルがカクカクすること無く再生というだけでも相当魅力です。
ただ有機画質はあまり期待できないということですね。
ま~ご返事の内容からして慌てて買い直す価値はなさそうに思いました。
VLC media player ですがもう少しだけ詳しく教えてもらえませんか。
メディア→変換/保存は分かりますがまだ一度も上手くいきません。
EVOも音声レベルさえ上がればもう少し効果的なのですが。
VLCの使い方ですが、下記にまとめました。
無料の多機能メディアプレーヤー「VLC media player」で、動画ファイルの音量を上げる方法
ご参考までに。
VLCの詳細な操作手順をありがとうございました。
ここまで書いて頂いても非常に難しかったですが、やっと音量の125パーセントアップが
出来ました。
これでも今までやっとの音声が随分聞きやすくなりました。
操作 いついては慣れれば何てことないことでしょうからあとは大丈夫です。
感謝です。
お役に立てたようで何よりです(^^)
また何がありましたら、ご連絡ください。