【VRカメラ】Insta360 EVOは買いか? ~Vuze XRとQooCamと数字で比較してみる~

2019年3月14日

Insta360シリーズで人気を博している中国Shenzhen Arashi Vision社が、満を持してVR180に参入してきました。

「Insta360 EVO」です。  

main.jpg

「Insta360 EVO」と同じく、360度映像と180度3D映像が撮れる「2in1 VRカメラ」はVuze XRとQooCamの2台のみです。

3台とも持っている私の視点から、Insta360 EVOが買いかどうか検証していきます。

Insta360 EVOとは何か?

「Insta360 EVO」は、360度映像と180度3D映像が撮れる、いわゆる2in1 VRカメラです。 どういったものかは、ティザー動画が最も特徴を表しています。

現在日本で購入できるこの主の2in1 VRカメラはVuze XRとQooCamの2機種だけです。

「Insta360 EVO」は、従来のInstaシリーズを踏襲した使い易さを売りとしています。

「Insta360 EVO」のみの紹介であれば、下記のサイト等で詳しく書かれています。本記事では、他機種との比較を行っていきます。

Insta360 EVOと他の2in1 VRカメラとの比較

先行する2in1 VRカメラ、Vuze XRとQooCamとの比較を数字で行っていきます。

サイズ・重量・バッテリー・連続動作時間

※数字は、公式ページから引用し、整数に四捨五入しています。未発表な部分は手持ちの機種から測定しました。

sub1.jpg

【360度撮影時サイズ】

 
  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
高さ(mm) 49 152 199
横(mm) 50 56 25
厚さ(mm) 53 39 31
体積(cm3) 130 332 154
※体積は高さ×横×厚さを単純に計算したものです。
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。

【180度3D撮影時サイズ】

【180度 3D撮影時サイズ】
  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
高さ(mm) 49 152 110
横(mm) 98 97 120
厚さ(mm) 27 63 31
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。

【重量・バッテリー・連続動作時間】

 
  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
重量(g) 113 212 180
バッテリー(mAh) 1200 1200 2600
連続動作時間(分) 65 60 180
充電ポート Micro USB USB-3 type C Micro USB
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。
上記の表から、Insta360 EVOの特徴をまとめると、
Insta360 EVOは小さくて軽いカメラである事が分かります。
・360度撮影時の厚さが大きいことから、画像のつなぎ目であるステッチの処理が難しいカメラであると考えられます。
・約1時間の撮影が可能です。Vuze XRもQooCamもモバイルバッテリーで充電しながらの撮影が可能です。Insta360 EVOも充電しながらの使用となるでしょう。
・残念な点としては、この時期の新機種であるにもかかわらず、充電ポートがMicroUSBという点でしょう。

レンズ間距離

Insta360 EVOが手に入りましたので、左右のレンズ間の距離を測定しました。

機種名レンズ間距離(中心-中心)
QooCam53mm
Vuze XR58mm
Insta360 EVO65mm

下記のサイトを見ると、人の平均の瞳孔観距離は63mm程度の用です。

人の瞳孔観距離に近いInsta360 EVOはより違和感なく立体に見えやすい可能性があります。

レンズ・センサー性能

 Insta360 EVOVuze XRQooCamInsta360 ONE X
F値F2.2F2.4 F2.2F2.0
魚眼レンズ
視野角
不明210°216°200°
センサー不明Sony 1/2.3inch
12MP IMX-378
Sony 1/2.5inch
4k sensor
Sony 1/2.3inch

最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。

Insta360 EVOのレンズについては、F値以外は開示されていません。

数字を見る限り、Insta360 EVOは明るいレンズを使用していると言えます。

有効1800万画素センサーを2つ使ったと記載するサイトを見つけましたが、写真出力が1800万画素であるため間違った数字でしょう。おそらくは、センサーはInsta360 ONE Xと同じSony製。EVOは厚みがある分、レンズの角度を上げたためF値が落ちていると考えられます。

撮影時露光補正設定範囲

Insta360 EVOVuze XRQooCam
露出補正±4.0±2.0±2.0

Vuze XRのアプリがv1.3.1になってから、EV値(Exposure Value:露光補正値)のマニュアル入力が出来るようになりました。

EV値の設定範囲はInsta360 EVOがダントツで大きくなっています。

なお、Insta360 EVOおよび、QooCamは多数回の撮影によるHDR撮影相当のモードを持っていますが、Vuze XRは持っていません。

動画性能

  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
5.7k撮影(5760×2880)
30fps
30fps 不可
4k撮影(3840×1920) 50fps, 30fps 60fps, 30fps 60fps, 30fps
その他 3008×1504@100fps  
1920×960@100fps
1920×960@120fps
動画コーデック H264 H264 H264
動画ビットレート 100Mbps 120Mbps 60Mbps
手振れ補正 FlowState  PCソフト上で対応
アルゴリズム
(IMU6軸ジャイロ)
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。
動画性能としては、数字上はInsta360 EVOとVuze XRはほぼ同じ
Vuze XRの方がビットレートが高く、エンコーダーの性能が同等ならば、Vuze XRの方が高画質という事になります。
Insta360 EVOは4k撮影が最大50fpsと低くなっています。
解像度は落ちるものの120fpsに対応しているのはQooCamのみです。なお、QooCamはPCのソフトから4320×2160@30fpsの動画が出力できます。
注目すべきは、Insta360 EVOには手振れ補正機能「FlowState」が搭載されている点です。Vuze XR では手振れ対策必須ですが、手持ちでの撮影に耐えます。
 
(加筆:2019/4/18)
録音の比較と手振れ補正機能の比較を行いました。ご参考までに。
【録音の比較】
【手振れ補正比較】
 
Insta360 EVOは4k画質が50fpsまでというのはいただけません。
(加筆:2019/4/16)Insta360 EVOはAndroidアプリで5.7k画質の動画の取り扱いが出来ます。Vuze XRはAndroidアプリでは、4kまでしか扱えません。

静止画性能

  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
解像度 6080×3040 6000×3000 4320×2160
シャッター速度 1/4000s – 55s 不明 1/6400s – 60s
ISO感度 100-3200 100-1600  100-3200
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。
解像度とは、数字上はInsta360 EVOとVuze XRはほぼ同じ
Insta360 EVOでは、シャッター速度の手動設定ができますが、Vuze XRはできませんVuze XRも6/28のアプリのアップデートでできるようになりました
超広角の写真を撮ることになりますので、白飛び等の補正を手動で行えるのはありがたいです。
なお、3機種ともに、スマートフォンで扱える画素数は4k画質まで。5.7k画質はPCでの取り扱いとなるようです。
(加筆:2019/4/16)3機種ともにAndroidアプリで最大画質の写真を見たり、他のアプリへの共有が可能です。
(加筆:2019/4/16)下記に写真の比較をまとめました。ご参考までに。

値段

  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
価格
(2019/3/14調べ)
¥56,570@楽天 ¥59,500@Amazon ¥48,500@Amazon
※今現在、Amazonで検索出来なかったため、楽天の価格を記載
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。
Insta360 EVOはVuze XRよりも若干安くなっています。
動画を撮影するならば、手振れ対策必須のVuze XR に対して、手振れ補正機能「FlowState」が搭載されている分トータルで安くなる可能性があります。

Androidやi-phoneとの連携は?

  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
i-phone iPhone 6s以上、iPhone SE, iPad(2018)
iOS 11以上,
iPhone 6S or later
iOS 8.0以上
Android
Android 5.1以上,
RAM 2GB以上,
SOC(Qualcomm 653/Qualcomm 820/Kirin 950/Exynos 8890 or above)
Android 6.0以上,
RAM 2GB以上
Android 4.4以上
Insta360 EVOは、Androidで使用する場合チップセットに制約があります。少し古めの機種や、低価格帯のスマホでは動かない可能性がありますが、Gopro Fusionよりは間口が広そうです。
(加筆:2019/4/18)Qualcomm650のOnkyo製スマホGranbeatで、Androidアプリの確認をしました。
上記の制限よりも多少スペックが低くてもアプリが動く可能性があります。
 
(加筆:2019/4/16)前項目と重複しますが、
Insta360 EVOはAndroidアプリで5.7k画質の動画の取り扱いが出来ます。Vuze XRはAndroidアプリでは、4kまでしか扱えません。
写真は3機種ともにAndroidアプリで最大画質の写真を見たり、他のアプリへの共有が可能です。
 

その他

数字で比較できない部分を比較します。
  Insta360 EVO Vuze XR QooCam
Oculus Go/Samsung Gear
用アプリ
あり あり なし
Premiereプラグイン あり なし なし
最も良い項目を赤で、残念な項目を青で書いています。
360度動画、180度 VR動画の視聴時に臨場感を得るためには、VRゴーグルが必要です。
Insta360 EVOには、Oculus Go/Samsung Gear用の専用アプリが準備されており、敷居が低くなっています。
また、動画を編集する人にとっては、Premiereプラグインは作業工数が削減されるため大きなアドバンテージになります。
※Vuze XRは3/19のファームウェアアップデートで、Oculus Goでの再生に対応しました。
 

(追記:2019/4/12)Insta360 EVOレビュー

Insta360 EVOを入手しましたので、比較を始めています。

(追記:2019/6/29)まとめ「Insta360 EVOは買いか?」

Insta360 EVO、Vuze XR とQooCamについて、数字で比較しました。

Insta360 EVOが発売されたから2か月、3機種共にアプリ・ファームウェアのバージョンアップが入り、進化しています。

画質Insta360 EVOの勝ち(Insta360 EVOの方が白飛びしにくい:※1)
録音Vuze XRの勝ち(Insta360 EVOやQooCamは録音の音量が小さいです)
サイズInsta360 EVOの勝ち
手振れ補正引き分け
(Vuze XRもアップデートで大分改善済み、Insta360 EVOの手振れ補正は歪みがある)
価格Insta360 EVOの勝ち
(2019/9/8:Insta360 EVOの価格が落ちてきました)
視聴Insta360 EVOの勝ち
Vuze XRはスマートフォンでは5.7k動画の取り扱いできない
編集Insta360 EVOの勝ち
Premiereプラグインあり
手軽さQooCamの勝ち
(アプリアップデートで、面白クリップが簡単に撮影できるようになっています)

以上を踏まえて、買うべき180度3Dカメラは下記の記事に選択チャートを作りました。ご参考までに。

なお、ご購入前に、現状180度3Dカメラは万人が満足できるものではない、という点も知っておいておいた方が良いでしょう。下記に記事をまとめましたので、ご参考までに。