【実機レビュー】DELL XPS 13 9300:RTX3060Tiをモバイルノートに付けてみる【VRを試す】■Core i7-1065G7 /16GB /RTX3060Ti(eGPU)■
DELL様よりDELL XPS 13 9300をお借りしました。
DELL XPS 13は、1枚物のアルミの削り出しで作られた、軽くて強度の高い筐体を持ったモバイルノートのシリーズです。
また、今回お借りしたXPS 13 9300もThunderbolt3ポートを備えています。GPUボックスを接続してVRが楽しめるかどうかを検証していきます。
この記事では、VR性能について見ていきます。
テスト機:DELL XPS13 9300のスペック
今回お借りしたPCのスペックは下記の通り。このPCの性能を検証していきます。
お借りしたモデルは、16:10の広々とした4k強の液晶を搭載したモデルです。
model | DELL XPS 13 9300 |
---|---|
CPU | Core i7-1065G7 4コア8スレッド 1.3GHz(TB 3.9GHz) |
GPU | CPU内臓GPU(Intel Iris Plus Graphics 940) |
メモリ | 16GB |
SSD | 512GB |
HDD | なし |
電源 | 45W |
OS | Windows10 Home 64bit |
なお、XPS 13 9300は、DELLの公式サイトでは販売が終了したモデルです。
現行モデルはXPS 13 9310です。
用意した物:Razer Core X
項目 | Razer Core X |
---|---|
メーカー | Razer |
サイズ(高さx横x奥行き)(mm) | 230x168x374 |
内寸(mm) | 160x57x330 |
内蔵電源 | 650W |
電源能力が650Wと高めのGPUボックスです。これにRTX 3060 Tiを差してテストします。
Razer Core Xには、Thunderboltケーブルが付属しません。今回は下記のケーブルを用いてテストを行いました。
GIGABYTE GV-N306TGAMING OC-8GD
GIGABYTE製のRTX 3060 Tiです。GIGABYTEのモデルの中では中の下と言ったモデルです。
VR性能測定結果
Oculus推奨スペックとの比較
Oculus推奨GPUの下限のスペックのPCとの比較をします。
- CPU:Intel Core i5 4590
- GPU:GEFORCE GTX 1060-6GB
- メモリ:8GB
DELL XPS 13 9300は、モバイルPCでありながら、Oculus推奨CPU以上の性能を発揮します。このPCにGeForceを接続して、GPUを強化してあげれば、下のようにOculus推奨性能を上回る能力を持つことになります。
※Oculus推奨スペックを100とした時の、DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 Tiの性能
項目 | 説明 |
---|---|
3Dmark TimeSpy | DirectX 12対応の描画性能を示しています。 Oculus推奨のGTX1060 6GB(Desktop)を100とした場合の値です。 |
Dmark FireStrike | DirectX 12対応のVRの描画性能を示しています。Orange Roomよりもリッチなグラフィックを使用します。 Oculus推奨のGTX1060 6GB(Desktop)を100とした場合の値です。 |
Cinebench CPU | CPU全体の計算能力を示しています。 Oculus推奨のIntel Core i5 4590を100とした場合の値です。 |
Cinebench SingleCore | CPUのコア1つ分の計算能力を示しています。 Oculus推奨のIntel Core i5 4590を100とした場合の値です。 |
memory | メモリーの容量を示しています。 Oculus推奨の8GBを100とした場合の値です。 |
今回お借りしたモデルのCPUは、Core i7-1065G7です。モバイル向けの低消費電力タイプのCPUですが、Oculus推奨CPUよりも高い性能を発揮します。
本来DELL XPS 13 9300は、VRを楽しめるほどのグラフィック性能はありません。この問題は、GPUボックスを介してRTX 3060 Tiを積むことによって解決できました。
解像度とフレームレートの関係
解像度を代えてVRMARKを実行しました。横軸が画素数、縦軸がフレームレートです。
VRMARKで記載されているフレームレートはPCが1秒間に何枚絵を描けるか、という値です。
このPCが絵を描くフレームレートが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のリフレッシュレートに達しない場合は中間のフレームが補完される場合があります。頭の動きの少ないアプリであれば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の半分のリフレッシュレートを目指すというのも手です。
Oculus Quest系は、2020年10月のアップデートで表示が変りました。
Oculus Rift S:リフレッシュレート80Hz
- 4.9Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 5.9Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest:リフレッシュレート72Hz
- 9.4Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2272設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 5.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 7.2Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 9.4Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest 2:リフレッシュレート72Hz、80Hz、90Hz
- 8.7Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2096設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 6.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 8.6Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 1.1Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
DirectX 11のOrenge Room・Blue Roomでは、Oculus Quest 2のレンダリング解像度設定「1.0x」で、90Hz以上出ています。
RTX 3060 Tiを接続したことによって、CPU・GPU性能共に、Oculus推奨PCの性能を大きく上回っています。
VRを十分楽しめる性能と言えるでしょう。
VRスコア・コスパ
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 223 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得。付加価値未考慮 | 70※ |
元々プレミアムモデルであるDELL XPS 13 9300は、コストパフォーマンスとしては悪くなります。ただし、外出時には軽快に持ち運べるという利点を考えると、このスコア以上の価値があると考えられます。
PC基本性能測定
ベンチマークアプリPCMARK10の測定結果を表示します。ゲーム以外の目的としてDELL XPS 13 9300 + RTX 3060 Tiを使った場合の能力を示しています。
デスクトップ型PCのCPUとして現在の売れ筋CPU「INTEL CORE i5-10400」を積んだPCと比較をします。
※INTEL CORE i5-10400のベンチマーク結果を100とした時の、DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 Tiの性能
ベンチマークアプリ「PCMark10」の結果を記載しています。
項目 | 説明 |
---|---|
OverAll | PC全体の性能を示しています。 |
Essentials | アプリの起動などPCの動作の処理性能を示しています。 実際にアプリの起動速度やブラウザ等を使って、処理能力を数字化しています。 |
Productivity | WordやExcelと言ったOffice系アプリの処理性能を示しています。 OpenOffice系のアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
Digital Content Creation | 写真・動画・3Dグラフィックスなどのクリエイティブ系アプリの処理性能を示しています。 GIMP等のクリエイティブアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
クリエイティブな作業もこなせるようになっています。ほぼほぼ、デスクトップ型PCと同じ性能を発揮します。
現在主流のCore i5搭載デスクトップPCと比べて、同等の性能が発揮できます。
第10世代デスクトップ用CPUと、同等の性能を得られます。
HMDを接続してみた
Oculus Rift S
DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 TiでOculus Rift Sを使った場合、どれくらいのフレームレートが出るのかを試しています。
画質設定「パフォーマンスを優先」では、フレームレート80fpsは余裕で超えています。
Oculus Quest
DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 TiでOculus Questを使った場合、どれくらいのフレームレートが出るのかを試しています。
レンダリング解像度の設定を「1.0x」とした場合、フレームレート72fpsは余裕で超えています。
Oculus Quest 2
DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 TiでOculus Quest 2を使った場合、どれくらいのフレームレートが出るのかを試しています。
レンダリング解像度の設定を「1.0x」とした場合、フレームレート72fpsは余裕で超えています。
Vive Cosmos Elite
DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 TiでVive Cosmos Eliteを使った場合、どれくらいのフレームレートが出るのかを試しています。
Asgard’s Wrathのような重たいアプリでは、フレームレート90fpsを切ることがあります。
Pimax 8k Plus
DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 TiでPimax 8k Plus使った場合、どれくらいのフレームレートが出るのかを試しています。
Pimax 8k Plusの視野を「Normal」とした場合、アプリの画質を求めなければ、十分にVRを楽しめそうです。
まとめ
スタイリッシュなモバイルノートPC「DELL XPS 13 9300」に、GPUボックスを介して、GeForce RTX 3060 Tiを接続してみました。
・グラフィック性能を押し上げることによって、VRを十分に楽しめる性能となっている
DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 Tiと言う構成では、GPUは有り余る性能を持っているのに対して、CPU性能がOculus推奨性能よりも少し上程度の状態になりました。
通常、ゲーミングPCはCPUは過剰な性能を載せているため、CPUがボトルネックとなることはありません。このため、他のPCのベンチマーク結果と比較した場合、「DELL XPS 13 9300 + RTX 3060 Ti はベンチマークの値のわりに遅いPC」となり得ます。
とは言え、Oculus Quest 2単品よりはリッチな演出のアプリでも軽くこなせるだけの描写性能を手に入れます。最高画質さえ目指さなければ、十分VRを楽しむことが出来ます。
モバイルノートでVRを楽しむ一つの選択肢として、GPUボックスという手はありなのではないでしょうか。
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