【実機レビュー】ASUS ROG Zephyrus S15:軽量ハイスペックゲーミングノート【VRを試す】■Core i7-10850H /32GB /RTX2070SUPER■
【レビュー】
ASUS ROG Zephyrus S15
軽量ハイスペックゲーミングノート
/Core i7-10850H /32GB
/GeForce RTX 2070 SUPER
ASUS様より、ゲーミングブランド「ROG」の名前を持つ「ROG Zephyrus S15」をお借りしました。
Max-QではないGeForce RTX 2070 SUPERを積むハイエンドなゲーミングノートでVRがどの程度楽しめるのか検証します。
この記事では、基本スペックを見ていきます。
ASUS ROG Zephyrus S15
ROG Zephyrus S15は、フラッグシップモデル「ROG Zephyrus Duo 15」に次いで高機能なモデルです。「ROG Zephyrus Duo 15」は色々ずば抜けすぎていますので、このROG Zephyrus S15が現実的なハイエンドモデルに位置すると考えられます。
model | ROG Zephyrus S15 GX502 GX502LWS-I78R2070S |
---|---|
CPU | Core i7-10875H 8コア16スレッド 2.3GHz(TB 5.1GHz) |
GPU | GeForce RTX 2070 SUPER |
メモリ | 32GB |
チップセット | 未公開 |
SSD | 1TB |
HDD | ― |
ディスプレイ | 15.6型ワイドTFTカラー液晶 1,920×1080(フルHD)/ 300Hz |
インターフェース | HDMI 2.0b USB3.0 x2 USB3.1(Type-A/Gen2) x1 Thunderbolt 3 (Type-C) x1 マイクジャック x1 ヘッドホンジャック x1 |
ネットワーク | 無線LAN(Wi-Fi):Wi-Fi 6 Bluetooth:Bluetooth 5.1 |
Webカメラ | なし |
バッテリー駆動時間 | 約12.4時間 |
OS | Windows 10 Home 64 bit |
キーボード | 英語 |
サイズ (幅×奥行×高さ) | 1.3リットル (360 x 252 x 18.9mm) |
電源 | 240W |
重さ | 約2.0kg |
価格(税別) | \113,455 |
※価格・モデルは執筆時の物を記載しました。頻繁に変更されるので、必ず公式サイトでご確認ください。
注目すべきは、Max-Qデザインではない素のGeForce RTX 2070 SUPERが積んである点でしょう。一般にノートPCでは発熱によって、性能が制限されてしまいます。ROG Zephyrus S15は、ASUS独自の冷却機構により、GeForce RTX 2070 SUPERの性能を引き出しています。
ASUS Storeで購入する意味
ASUS Storeで購入すると、メーカーならではの手厚いサポートを受けることが出来ます。
保証名 | 価格 | 期間 | 内容 |
---|---|---|---|
ASUSのあんしん保証 | \0 | 1年 | 故障時負担:どんな故障でも交換部品の20%の料金で修理可能 |
ASUSのあんしん保証 プレミアム3年パック | \14,800 | 3年 | 故障時負担:\0 |
”どんな故障でも”修理してくれます。例えば、部品の増設をしようとして失敗して壊した場合や、落下させてしまったり、水没してしまったり。普通は保証適応外となるような故障であっても、修理してもらえます。
通常の「ASUSのあんしん保証」であっても、修理代金の8割はASUSが負担してくれる、これがあれば安心して使用できますね。
テスト機:ASUS ROG Zephyrus S15 (GX502LWS-I78R2070S)
今回お借りしたPCのスペックは下記の通り。このPCの性能を検証していきます。
model | ROG Zephyrus S15 GX502 GX502LWS-I78R2070S |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチ FHD IPS液晶(1920x1080px、360Hz) |
CPU | Intel Core i7-10875H 8コア16スレッド・2.3GHz(TB 5.1GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER 8GB GDDR6 |
メモリ | 32GB |
SSD | 1TB (NVMe/M.2) |
HDD | なし |
電源 | 240W |
OS | Windows10 Home 64bit |
外観・デザイン
天板
天版には特徴的なヘアライン加工が施されています。ROGのロゴは鏡面に仕上げられており、コントラスが演出されています。
側面・インターフェース類
ROG Zephyrus S15の背面にはインターフェースはありません。中央に「ROG」の語源である「REPUBLIC OF GAMERS」の文字が刻まれています。
背面と両サイドの後方に、ヒートシンクが配置されています。
このため、インターフェースは前面寄りに位置します。インターフェースが前寄りにあるため、結果的に使いやすくなっています。
本体右側には、手前から、Thunderbolt3ポート、USB3.0ポート x2が配置されています。
本体左側のコネクタは、後ろ側から、電源ポート、有線LAN、HDMI、USB3.1、マイクジャック、イヤホンコンボジャックです。
本体前面には、インターフェースはありません。
ヒンジ部分
ROG Zephyrus S15の特徴的な点が、このヒンジ部分です。モニターを開けると、キーボード部分がせり上がり、背面部分に空洞を作ります。この出来上がった空洞から吸気し、発熱したPC内部を効率的に冷やす工夫がされています。
下の写真のように、本体の底面は、本体の発熱部から遠ざけられています。
この結果、排気風自身はかなり熱くなっていても、PCの底面はあまり熱くなりません。逆に言えば、テーブルクロスなどの熱のこもる物の上にROG Zephyrus S15を置いても、排熱に影響しないということです。ちょっとした作業時に、膝の上に置いたとしても熱くないのはありがたいですね。
キーボード・タッチパッド
ROG Zephyrus S15のキーボードは英語版の物が付いています。
ファンクションキーが4つずつに分かれて配置されている点は打ち間違えにくく好感が持てます。
ASUS製のPCの特徴ではありますが、特殊キーが「ENTER」キーの右側に並んでいる点は、慣れが必要でしょう。
打鍵感は悪くなく、音はかなり静かです。後述するようにゲーミングPCらしく、虹色に輝きます。
タッチパッドは、パームレストの1/4程度の大きさで、ミスタッチが起こりにくい位置にあります。パームレストからの位置も適切で、ストレスなく使えます。
イルミネーション
ゲーミングPCらしく、キーボードが七色に光ります。
写真でわかるように、ヒートシンク部分からも光が漏れ、ROG Zephyrus S15の下部も照らします。
これらの光り方は、専用アプリ「Armoury Crate」内の「AURA Sync」にて自由に変更することが出来ます。
重さ
本体の重さ
本体の重さを計りました。
項目 | 重量 |
---|---|
公称値 | 約2.0kg |
実測値 | 2.093kg |
約2kgでした。このスペックのゲーミングPCとしては、軽量の部類に入ります。
特殊なマグネシウム – アルミニウム合金製を使って、耐久性を保ちながら軽量化が計られています。
電源アダプタ
正直言って箱を開けた時に驚いたの野が、この電源アダプタです。サイズ的には一般的なPCの180W品と同等の大きさです。
重量も609gと軽量の部類です。
コードを入れても、771g。
本体と電源ケーブルで、3kg弱です。
更に、ROG Zephyrus S15はUSB Type-CからのPD充電に対応しています。65WまでならUSBから充電出来るため、外出時にパワフルな作業をしないのであれば、小型のUSB充電器さえ一緒に持ち運べばバッテリー切れを回避できます。
VR性能測定結果
ここからは、ROG Zephyrus S15の性能を検証していきます。専用アプリ「Armoury Crate」から、ファンのモードは「Turbo」に変更して検証しています。
Oculus推奨スペックとの比較
Oculus推奨GPUの下限のスペックのPCとの比較をします。
- CPU:Intel Core i5 4590
- GPU:GEFORCE GTX 1060-6GB
- メモリ:8GB
今回テストしたGeForce RTX 2070搭載モデルの実測値を基に計算しています。
※Oculus推奨スペックを100とした時の、ROG Zephyrus S15の性能
項目 | 説明 |
---|---|
3Dmark TimeSpy | DirectX 12対応の描画性能を示しています。 Oculus推奨のGTX1060 6GB(Desktop)を100とした場合の値です。 |
Dmark FireStrike | DirectX 12対応のVRの描画性能を示しています。Orange Roomよりもリッチなグラフィックを使用します。 Oculus推奨のGTX1060 6GB(Desktop)を100とした場合の値です。 |
Cinebench CPU | CPU全体の計算能力を示しています。 Oculus推奨のIntel Core i5 4590を100とした場合の値です。 |
Cinebench SingleCore | CPUのコア1つ分の計算能力を示しています。 Oculus推奨のIntel Core i5 4590を100とした場合の値です。 |
memory | メモリーの容量を示しています。 Oculus推奨の8GBを100とした場合の値です。 |
Oculus推奨性能に対して、2倍i以上の性能を発揮しています。ノートPCでこれだけの性能を発揮できているのは驚きです。
解像度とフレームレートの関係
解像度を変えてVRMARKを実行しました。横軸が画素数、縦軸がフレームレートです。
VRMARKで記載されているフレームレートはPCが1秒間に何枚絵を描けるか、という値です。
このPCが絵を描くフレームレートが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のリフレッシュレートに達しない場合は中間のフレームが補完される場合があります。頭の動きの少ないアプリであれば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の半分のリフレッシュレートを目指すというのも手です。
Oculus Quest系は、2020年10月のアップデートで表示が変りました。
Oculus Rift S:リフレッシュレート80Hz
- 4.9Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 5.9Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest:リフレッシュレート72Hz
- 9.4Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2272設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 5.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 7.2Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 9.4Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest 2:リフレッシュレート72Hz、80Hz、90Hz
- 8.7Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2096設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 6.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 8.6Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 1.1Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus QuestやOculus Quest 2で使う場合には、ほぼレンダリング解像度設定は標準の「1.0」の設定で描写しきれそうな性能を持っています。ただ、レンダリング解像度を上げたり、そもそも解像度の高いHMDを使用する場合、性能不足を感じる可能性があります。
ROG Zephyrus S15は、Oculus推奨性能の2倍以上の性能を持っています。
通常は性能不足を感じることなく、使用できるでしょう。
VRスコア・コスパ
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 193 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得 | 61※ |
ノートPCとしては、十分ハイフォーマンスモデルと言える性能が出ます。
ROG Zephyrus S15は小型・軽量と言った分かりやすい付加価値と共に、特殊な冷却構造を持った高付加価値モデルです。上記のスコアには反映しきれていない付加価値があります。
PC基本性能測定
ベンチマークアプリPCMARK10の測定結果を表示します。ゲーム以外の目的としてROG Zephyrus S15を使った場合の能力を示しています。
デスクトップPCのCPUとして現在の売れ筋CPU「INTEL CORE i5-10400」を積んだPCと比較をします。
※INTEL CORE i5-10400のベンチマーク結果を100とした時の、ROG Zephyrus S15の性能
ベンチマークアプリ「PCMark10」の結果を記載しています。スコアはCPUの1コアの能力に依存しやすい傾向があります。
項目 | 説明 |
---|---|
OverAll | PC全体の性能を示しています。 |
Essentials | アプリの起動などPCの動作の処理性能を示しています。 実際にアプリの起動速度やブラウザ等を使って、処理能力を数字化しています。 |
Productivity | WordやExcelと言ったOffice系アプリの処理性能を示しています。 OpenOffice系のアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
Digital Content Creation | 写真・動画・3Dグラフィックスなどのクリエイティブ系アプリの処理性能を示しています。 GIMP等のクリエイティブアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
デスクトップPCと比べても遜色のない性能を発揮します。
現在主流のCore i5搭載デスクトップPC以上の性能を発揮できます。どんな作業をしていても、スペック不足を感じることは無いでしょう。
定番ベンチマーク結果
前述の物を含めて、定番のベンチマーク結果を並べます。VR用途としては十分な性能を持っています。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
SteamVR Performance Test | 平均忠実度:11.0(非常に高い) テストされたフレーム:17246 |
VRMARK | Orange Room : 7341 Cyan Room: 7921 Blue Room: 2648 |
3DMARK | Time Spy: 8418 Fire Strike: 19684 |
PCMARK10 | OVERALL: 5358 Essentials: 8918 Productivity: 8627 Digital Content Creation: 5427 |
CINEBENCH R20 | CPU: 4377 Single Core: 498 |
FINAL FANTASY XV | 高品質: 8293(快適) |
FINAL FANTASY XIV | 最高品質: 13443(非常に快適) |
このベンチマーク結果を見ると、GeForce RTX 2080 Max-QモデルのノートPCよりもスコアが出ています。ROG Zephyrus S15の冷却構造によって、GeForce RTX 2070 SUPERの性能が引き出せているということでしょう。
ストレージ
Cドライブ
PCIe 3.0 x4対応の高速SSD「Western Digital SN730」が搭載されています。
消費電力・騒音
参考までに、消費電力と騒音を計りました。バッテリーは100%の状態。ファンの設定は「Turbo」にしています。
状態 | 消費電力 | 騒音 |
---|---|---|
停止時 | 0W | 32dB |
アイドル時(Turbo設定) | 48W | 48dB |
高負荷時(3DMARK) | 211W | 61dB |
ターボ設定にすると、ファンが絶えず動き始めます。この段階でかなり気になるレベルのファンの音ですが、負荷がかかると更に一段階ファンの回転が上がり、イヤホン・ヘッドホンなしでは気になるレベルのノイズを発します。
電力測定
騒音
PCの中央から、高さ15cm、PCの手前カツカツの位置で測定。
HMDを接続してみた
Oculus Rift S
Oculus Quest
Oculus Quest 2
Vive Cosmos Elite
近日公開予定
Pimax 8k Plus
まとめ
ASUSの2020年夏モデルのハイスペックゲーミングノート「ROG Zephyrus S15」の性能を見てまいりました。
・シンプルながら高級感のあるデザイン
・ハイスペックPCにあるにもかかわらず、軽量でコンパクト
・USB PDに対応し、USB充電器から充電できる機動性
・小型の扇風機並みの音のするファンの音
・高付加価値モデルであるために性能に対して高めの価格設定
ROG Zephyrus S15は、特殊なアルミニウム・マグネシウム合金を採用していたり、独自の冷却機構を持っていたり、意欲的な技術が盛り込まれた高付加価値モデルです。イルミネーションや他に類を見ないヒンジ構造は、見るたびに所有する喜びを与えてくれるでしょう。
性能面で言えば、デスクトップPC相当の性能が持ち運べるのですから驚きです。メモリーも32GB積んでいますので、ゲームもクリエイティブ用途でも十分満足できる性能を持っています。
もし、この価格帯のPCを持ち歩きたいのならば、「ASUSの安心保障」に入るべきでしょう。
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