【実機レビュー】OMEN X by HP 2S 15:デュアルスクリーン型のハイエンドゲーミングノート【VRを試す】■Core i9-9880H /32GB /RTX2080MQ■
HP様より、ゲーミングブランド「OMEN」の中から、デュアルディスプレイを搭載したハイスペックモデル「OMEN X by HP 2S 15」をお借りしました。
この記事では、基本スペックを見ていきます。
OMEN X 2S 15 by HP
OMEN X by HP 2S 150は、CPUに第9世代Intel Coreシリーズを積んだゲーミングノートです。
OMEN X 2S 15 by HP | 15-dg0043TX | 15-dg0044TX |
CPU | Core i9-9880H 8コア16スレッド 2.3GHz(TB 4.8GHz) | |
GPU | GeForce RTX 2080 Max-Q | |
メモリ | 32GB | |
チップセット | HM370 | |
SSD | 1TB (TLC) | 512GB (QLC) Intel OptaneメモリーH10対応 |
HDD | ― | ― |
ディスプレイ | 15.6型非光沢IPSカラー液晶 1,920×1080(フルHD)/ 240Hz 5.98インチFHD・IPSタッチ液晶 | |
インターフェース | HDMI x1 USB3.1 Gen1(Type-A) x3 ThunderBolt3(USB3.1 Gen2(Type-C)) x1 マイク・ヘッドホンコンボジャック x1 有線LAN | |
ネットワーク | 無線LAN(Wi-Fi):Wi-Fi 5 (IEEE802.11 a/b/n/g/ac) Bluetooth:Bluetooth 5.0 | |
Webカメラ | フルHDカメラ(約200万画素) | |
バッテリー駆動時間 | 約4時間 | |
OS | Windows 10 Home 64 bit | |
キーボード | 日本語84キー | |
サイズ (幅×奥行×高さ) | 2.1リットル (360 x 267 x 24.2mm) | |
電源 | 230W | |
重さ | 約2.37kg | |
価格(税別) | ¥399,800 | ¥399,800 |
セール価格(税別) | \300,000 | \300,000 |
※価格・モデルは執筆時の物を記載しました。頻繁に変更されるので、必ず公式サイトでご確認ください。
Intel Optane H10については、このサイトでわかりやすく解説されていました。要約すると、「高速なOptaneメモリーをキャッシュに使って、見かけ上SSDを高速化する技術」となります。
現行モデルは2種類、SSDのモデルが異なる以外は同じスペックです。SSDの容量を取るか、体感速度を取るか、悩ましいところです。
テスト機:OMEN X by HP 2S 15-dg0010TX
今回お借りしたPCのスペックは下記の通り。このPCの性能を検証していきます。
model | OMEN X by HP 2S 15-dg0010TX |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチ FHD IPS液晶(1920x1080px、144Hz) |
CPU | Intel Core i9-9880H 8コア16スレッド・2.3GHz(TB 4.8GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 2080 Max-Q 8GB GDDR6 |
メモリ | 32GB |
SSD | 512GB (NVMe/M.2、Intel Optane メモリーH10 対応) |
HDD | なし |
電源 | 230W |
OS | Windows10 Home 64bit |
お借りしたモデルは、現行品と比べると、液晶のリフレッシュレートが異なります。
このOMEN X by HP 2S 15が搭載しているRTX 2080 Max-Qはノートパソコン用としては最上位クラスです。
外観・デザイン
天板
艶消しの様態には、Xを思わせる意匠が施され、OMENのロゴが入っています。
電源が入ると、このロゴは指定した色に光ります。
側面・インターフェース類
背面には大きな排気ダクトが設けられています。インターフェースはありません。
向かって右側にも大きなダクトが付いています。インターフェースは、前からThunderbolt3に対応したUSB Type-CとUSB 3.1Gen1(Type-A)です。
本体左側には、ダクトはありません。後ろ(下の写真の左側)から順に、電源ポート、HDMI、USB3.1Gen1(Type-A) x2、有線LAN、マイクイヤホンコンボジャックが配置されています。
本体前面には、インターフェースはありません。
クーリングシステム
ファンが駆動すると背面のダクトと共に、側面のダクトからも予想以上の風量の排気が出てきます。
下記の公式動画に、クーリングシステムの概要が描かれています。
一般にPCでは、CPU等の高温になる部品と熱を逃がすための部品「ヒートシンク」を「グリス」というドロッとした物で繋げます。
OMEN X by HP 2S 15は、このグリスの代わりにより熱を伝えやすい液体金属系の素材を使って排熱を助けています。
ヒンジ部分
OMEN X by HP 2S 15のヒンジ部分は、筐体の背面に位置しています。液晶の角度を変えても、キーボードの位置は変わりませんし、エアフローの邪魔にならないように、左右の空間が確保されています。
サブディスプレイ
OMEN X by HP 2S 15の最大の特徴であるサブディスプレイは、キーボードの奥に配置されています。タッチパネルにもなっており、このサブディスプレイを用いてPCの状態をモニターしたり、簡単に設定を変更したりすることが出来るようになっています。
サブディスプレイの解像度はメインディスプレイと同じフルHD (1920 x 1080 px)です。ディスプレイの設定を見てみると、同じ大きさのディスプレイが上下に並んでいるかのように表示されます。
メインディスプレイはGeForce RTX 2080 Max-Qにつながっています。
なんと、サブディスプレイもGeForce RTX 2080 Max-Qにつながっています。
サブディスプレイもGeForce RTX 2080 Max-Qにつながっているので、(意味があるかどうかはともかく)サブディスプレイでゲームも動きます。
サブディスプレイにSNSを表示したり、動画や音楽アプリを表示したりするのも良さそうです。
メインディスプレイで行う作業の邪魔にならず、タッチで操作できるので、メディアやSNSの垂れ流しに向いてそうです。
タッチパッドの直情の4つのボタンで、サブディスプレイの表示設定を変更できます。
システムモニター
GPUやCPUの使用率や温度を表示できます。タスクマネージャーを表示しなくても、絶えずPCの状態を表示できます。
パフォーマンスモードの変更
パフォーマンスモードを選択できます。また、強制的にファンを「最大」設定出来ます。
リアルタイム スクリーン ミラーリング
サブディスプレイに、メインディスプレイの一部をリアルタイムで拡大して映すことが出来ます。
試しにメインディスプレイの中央部分を拡大してみます。
ゲームのインフォメーション部分を拡大して表示しておけば、視認性が良さそうです。
テンキーモード
サブディスプレイをバーチャル10キーにすることが出来ます。
物理的なテンキーが配置できない分、苦肉の策だったのではないでしょうか。ブラインドタッチで数字を打つには慣れが必要なように感じました。
キーボード・タッチパッド
OMEN X by HP 2S 15のキーボードは、サブディスプレイがために、手前に配置されています。
パームレスト部分が存在せず、また、タッチパッドが、キーボードの右側に配置されています。
キーボード自身は、打ちやすく打鍵音もそこまで大きくありません。
タッチパッドは見た目の通り小さめですが、感度もよく、何より左右ボタンがキーボードと同じ打鍵感でとても打ちやすい!
ただ、配置されている場所的に、「キーボードを使っている手のポジションのままタッチパッドを使う」と使い方は出来ません。手の移動距離はどうしても多くなるため、現実的にはマウスを準備した方が良いでしょう。
使い心地が良い物なので残念です。
イルミネーション
OMEN X by HP 2S 15は、背面のロゴとキーボードの色を自在に設定できます。
背面のロゴは、サブディスプレイのみで設定できます。
キーボードのイルミネーションを設定したい場合は、アプリをメインディスプレイに移動させて設定します。
キーの色を一つ一つ自在に変更出来ます。
Webカメラ
OMEN X by HP 2S 15のWebカメラは液晶の上部にフルHD画質(約200万画質)の物が付いています。カメラの左右には内臓マイクが付いています。
重さ
本体の重さ
本体の重さを計りました。
項目 | 重量 |
---|---|
公称値 | 約2.37kg |
実測値 | 2.374kg |
約2.4kgでした。このスペックのゲーミングPCとしては、標準的な重さです。
電源アダプタ
230WのACアダプタなので、かなりの大きさ・重さがあります。198 x 98 x 26mm、重さも630gと巨大です。
コードを入れると742kgです。
OMEN X by HP 2S 15本体と電源ケーブルで、3kg強です。
私自身、同程度の重さのPCを持ち歩いていますが、ACアダプタは極力持ち歩きたくない大きさです。
VR性能測定結果
ここからは、OMEN X by HP 2S 15の性能を検証していきます。
サブディスプレイから、モードを「パフォーマンス」に、ファン速度の「最大」にチェックを入れて評価を行いました。
Oculus推奨スペックとの比較
Oculus推奨GPUの下限のスペックのPCとの比較をします。
- CPU:Intel Core i5 4590
- GPU:GEFORCE GTX 1060-6GB
- メモリ:8GB
OMEN X by HP 2S 15の実測値をもとに計算しています。
※Oculus推奨スペックを100とした時の、OMEN X by HP 2S 15の性能
項目 | 説明 |
---|---|
3Dmark TimeSpy | DirectX 12対応の描画性能を示しています。 Oculus推奨のGTX1060 6GB(Desktop)を100とした場合の値です。 |
Dmark FireStrike | DirectX 12対応のVRの描画性能を示しています。Orange Roomよりもリッチなグラフィックを使用します。 Oculus推奨のGTX1060 6GB(Desktop)を100とした場合の値です。 |
Cinebench CPU | CPU全体の計算能力を示しています。 Oculus推奨のIntel Core i5 4590を100とした場合の値です。 |
Cinebench SingleCore | CPUのコア1つ分の計算能力を示しています。 Oculus推奨のIntel Core i5 4590を100とした場合の値です。 |
memory | メモリーの容量を示しています。 Oculus推奨の8GBを100とした場合の値です。 |
Oculus推奨性能に対して、約2倍程度と十分な性能を持っています。
解像度とフレームレートの関係
解像度を変えてVRMARKを実行しました。横軸が画素数、縦軸がフレームレートです。
VRMARKで記載されているフレームレートはPCが1秒間に何枚絵を描けるか、という値です。
このPCが絵を描くフレームレートが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のリフレッシュレートに達しない場合は中間のフレームが補完される場合があります。頭の動きの少ないアプリであれば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の半分のリフレッシュレートを目指すというのも手です。
Oculus Quest系は、2020年10月のアップデートで表示が変りました。
Oculus Rift S:リフレッシュレート80Hz
- 4.9Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 5.9Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest:リフレッシュレート72Hz
- 9.4Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2272設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 5.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 7.2Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 9.4Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest 2:リフレッシュレート72Hz、80Hz、90Hz
- 8.7Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2096設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 6.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 8.6Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 1.1Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus QuestやOculus Quest 2で使う場合には、レンダリング解像度設定は標準の「1.0」では、重たいアプリを使用した際に、フレーム落ちの危険性があります。レンダリング解像度を多少下げた方が快適にVRを楽しめるでしょう。解像度の高いHMDを使用する場合、性能不足を感じる可能性があります。
OMEN X by HP 2S 15は、Oculus推奨性能の約2倍の性能を持っています。
軽いアプリならばストレスなく使用できるでしょう。
VRスコア・コスパ
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 183 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得 | 57※ |
ノートPCとしては、十分ハイフォーマンスモデルと言える性能が出ます。
PC基本性能測定
ベンチマークアプリPCMARK10の測定結果を表示します。ゲーム以外の目的としてOMEN X by HP 2S 15を使った場合の能力を示しています。
デスクトップPCのCPUとして現在の売れ筋CPU「INTEL CORE i5-10400」を積んだPCと比較をします。
※INTEL CORE i5-10400のベンチマーク結果を100とした時の、OMEN X by HP 2S 15の性能
ベンチマークアプリ「PCMark10」の結果を記載しています。スコアはCPUの1コアの能力に依存しやすい傾向があります。
項目 | 説明 |
---|---|
OverAll | PC全体の性能を示しています。 |
Essentials | アプリの起動などPCの動作の処理性能を示しています。 実際にアプリの起動速度やブラウザ等を使って、処理能力を数字化しています。 |
Productivity | WordやExcelと言ったOffice系アプリの処理性能を示しています。 OpenOffice系のアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
Digital Content Creation | 写真・動画・3Dグラフィックスなどのクリエイティブ系アプリの処理性能を示しています。 GIMP等のクリエイティブアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
デスクトップPCと比べても遜色のない性能を発揮します。
現在主流のCore i5搭載デスクトップPC以上の性能を発揮できます。どんな作業をしていても、スペック不足を感じることは無いでしょう。
定番ベンチマーク結果
前述の物を含めて、定番のベンチマーク結果を並べます。VR用途としては十分な性能を持っています。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
SteamVR Performance Test | 平均忠実度:11.0(非常に高い) テストされたフレーム:14208 |
VRMARK | Orange Room : 10805 Cyan Room: 6881 Blue Room: 2371 |
3DMARK | Time Spy: 7795 Fire Strike: 17463 |
PCMARK10 | OVERALL: 6306 Essentials: 9618 Productivity: 7953 Digital Content Creation: 8898 |
CINEBENCH R20 | CPU: 3065 Single Core: 461 |
FINAL FANTASY XV | 高品質: 8032(快適) |
FINAL FANTASY XIV | 最高品質: 16787(非常に快適) |
比較的重ための「FINAL FANTASY XV」でも高画質でプレイすることが出来ます。
ストレージ
Cドライブ
Intel Optane H10対応したINTEL製のSSDが搭載されています。Intel Optane H10は、高速に読み書きができるSSDをキャッシュとして使って、全体的に高速化させる技術です。
消費電力・騒音
参考までに、消費電力と騒音を計りました。バッテリーは100%の状態。ファンの設定は「最大」にしています。
状態 | 消費電力 | 騒音 |
---|---|---|
停止時 | 0W | 32dB |
アイドル時 | 45W | 37dB |
高負荷時 | 180W | 60dB |
ファンの設定を「最大」にすると、常時ファンがフル回転します。ファンの設定を自動にしておけば、低負荷での作業時にはファンの音はほとんど気にならない程度になります。
ファンがフル回転すると、かなりの音が出ており、イヤホン・ヘッドホンなしでは気になるレベルのノイズを発します。
電力測定
騒音
PCの中央から、高さ15cm、PCの手前カツカツの位置で測定。
HMDを接続してみた
各HMDを使った場合、どれくらいのフレームレートが出るのかを調べました。
Oculus Rift S
Oculus Rift Sのリフレッシュレートは80Hzです。各アプリでどれくらいのフレームレートが出るかを測定しています。
Oculus Quest
Oculus Questのリフレッシュレートは72Hzです。各アプリでどれくらいのフレームレートが出るかを測定しています。
Oculus Quest 2
Oculus Quest 2のリフレッシュレートは72Hz、80Hz、90Hzから選べます。各アプリでどれくらいのフレームレートが出るかを測定しています。
Vive Cosmos Elite
Vive Cosmos Eliteのリフレッシュレートは90Hzです。各アプリでどれくらいのフレームレートが出るかを測定しています。
Pimax 8k Plus
Pimax 8k Plusのリフレッシュレートは72Hz、90Hz、110Hzから選べます。各アプリでどれくらいのフレームレートが出るかを測定しています。
まとめ
HP製のハイスペックゲーミングノート「OMEN X by HP 2S 15」の性能を見てまいりました。
・情報を追加で表示できるサブディスプレイ
・デュアルスクリーンを助ける多コアCPU Intel Core i9採用
・高スペックの塊!
・特殊な位置にあるタッチパッド
・高付加価値モデルのため、対パフォーマンスに対してのコストは高め
OMEN X by HP 2S 15の最大の特徴は、なんといってもデュアルディスプレイを採用している点です。
メインディスプレイで作業をしながら、サブディスプレイに動画・音楽アプリやSNS等を垂れ流すと言った使い方も出来ます。タッチスクリーンになっているので、メディアプレイヤーとの相性は良いですね。
コア数の多いCPU、Intel Core i9が採用されている点も、デュアルスクリーンに適しています。サブディスプレイの作業が、ゲーム等のメインディスプレイでの作業の邪魔になりません。
本来40万円近くのモデルが、今(2021/1/17時点)で30万円程度になっています。このレベルのスペックでこの価格ならば高くは無いでしょう。
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