【初心者向け】VRに使えるノートPCの選び方(2021年1月版)

2020年6月17日

ノートPC単体でPC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)が使えたら良いと思い、色々検討したので、VR初心者の方に参考になるように、まとめました。

VRをノートPCで始めるには

必要なもの

パソコンでVR体験を始めるためには、下記の二つが必要です。

  1. PC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
  2. パソコン本体

予算

全て新品で購入したとした場合を考えます。

予算はおよそ下記の通りです。場所が許して、パソコンをいじるのが苦にならないのならば、デスクトップPCの方が安く上がりますし、足りない部分だけ交換をすることで長く使えるでしょう。

項目ノートPCデスクトップPC
パソコン本体約10万円~約8万円強~
ディスプレイ不要約1万円~
HMD約4万円~約4万円~
合計約14万円~約13万円~

2020年9月に続々と新しい製品が発表されたため、PCもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)も、相場が下がっています。ここ半年くらいで合計で5万円程度相場が下がっています

今回は、ノートPCに焦点を当てて、「最低限この程度の性能があればいいよ」という点をまとめています。

お勧めHMD

VRを体験するには、VRゴーグルとも呼ばれるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が必要になります。最初の1台としてお勧めできる機種としては、下記のOculus Quest 2一択です。

Oculus Quest 2

HMD単体でも使えて、且つ、PC用HMDとしてでも使えるモデルです。Facebookのアカウントを使う必要はありますが、初代Oculus Questと比べると、性能自身が大幅にアップしています。

PCとUSBで接続してPC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)として使用出来る「Oculus Link」機能も搭載されています。

性能は下記の記事にまとめつつありますので、ご参考までに。

その他

後継機のOculus Quest 2が発表されるタイミングで、生産停止になりました。HMD単体でも使えて、且つ、PC用HMDとしてでも使えるモデルです。

初めてHMDを体験するのならばOculus Questをレンタルで試すのも手ではないでしょうか。この画質で満足できるのならば、次はOculus QuestとノートPCを買えばいいのです。

また、Oculus Quest付属のUSB2.0のケーブルでPCに繋げば、PC版HMDとして使える点も魅力です。配線がごちゃごちゃしません。

2021年に生産停止になると発表されました。今から初めてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を購入するのならば、Oculus Quest 2です。

Oculus Questに比べると、ツブツブ感(スクリーンドア現象)が少なく映像が綺麗に見えます。また、画素数自身は少ないため、PCへの負荷が小さい点も魅力です。

PC用HMDの多くは、下の写真のようなDCアダプタを繋ぐ必要があります。その点、Oculus Rift SはDCアダプタは不要です。Oculus Rift Sの電力はPCのUSBから供給されるのでスマートです。

【例】PC用HMD、Vive CosmosのDCアダプタ。そこそこ邪魔です。

Oculus Rift SはノートPCで使うには最も適したモデルです。

ノートPCのスペックは何を見ればいい?

新品のノートPCを購入することを前提として、スペックのどこに注目すればいいのかをまとめます。

GPU

PC用HMDを動かす場合、NVIDIA社のGeforceシリーズか、AMD社のRadeonシリーズのGPUが必要になります。

ノートPCという点を考えると、同じ性能でより低電力であるGeforce系一択です。

PC用HMDの推奨スペックを見ると、GeforceシリーズのGTX 1060以上を選べば、余程重たいアプリ出ない限り動作します。

現行のGeforceシリーズでは、GTX 1660以上を選びましょう。

具体的には、GTX1660, GTX1070, GTX1080, RTX2060, RTX2070, RTX2080, RTX 3060, RTX 3070, RTX 3080のいずれかが載っているノートPCを選ぶことになります。

下の記事で、実際にどのくらいVRが楽しめるのか試してみた結果を記載しています。ご参考までに。

NVIDIA社のGeforceシリーズは、同じ型番でおよそ3種類のグレードが展開されます。

例えば、GTX1660ならば性能は、下記の通りです。

GTX1660 < GTX1660SUPER < GTX1660Ti

また、NVIDIAのGefoceという部品を使って各メーカーがグラフィックボードを作ります。作るときに、部品を加速させて頑張らせた物には「オーバークロック」という意味で「OC」と付ける場合が多いです。

これらの「SUPER」や「Ti」・「OC」にしても、GTX1660やRTX2060と言った大元の型番の性能飛び越えることはまずありません。

何もないより「SUPER」の方が強くて「Ti」はもっと強い、程度の認識で良いでしょう。

「BEAT SABER」などの軽いアプリならば十分使えますし、大作「Half:Life ALYX」等も画質を落とせば動きます。

ただ、Oculus Homeには、下記のような注意書きが出ますし、”快適な動作”とは言い難いです。

下記にGeforce GTX 1650を積んだノートPCのレビューをまとめました。ご参考までに。

結論は、GTX1650でもOculusシリーズならばそこそこ楽しめます。お試しならばこれでも動きます。

が、リッチな映像のアプリでは、性能不足で引っ掛かりを感じるときがあります。VRでは、描画が遅れると「VR」酔いが起こりやすくなります。

新規にPCを購入されるのでしたら、GTX 1660以上のGPUの載ったPCをお勧めします。

2020年9月にデスクトップ向けのRTX3000シリーズが発売になりました。従来のGPUの2倍の性能で、従来品と同じ価格帯のGPUです。

2021年1月からRTX3000シリーズを積んだノートPCが発売され始めています。流石新世代と言った性能が出ます。

ただ、RTX3000シリーズの発表でRTX2000シリーズやGTX1660搭載モデルの価格が下がってきています。

「このGPUのPCが安い!」と言う物は無いように値段設定がされています。

CPU

ノートPCでGeforce GTX1060以上を積んでいるモデルは、CPUもCore i5以上となっています。PC用HMDを動かす点に関しては、CPUは注目しなくても良いでしょう。

メモリー

メモリーは8GB以上であればほとんど問題ありません。GPUがGTX1660以上のものでメモリーが8GBより少ない物はまずないので、メモリーも気にしなくて良いでしょう。

ただし、自分で増設する自信が無い方は16GBあれば、より良いです。メモリーが多いと重いアプリでも動作が安定します。

また、目的のアプリがある場合は、推奨メモリを調べておいた方が良いでしょう。例えば、Oculusの大作RPG「Asgard’s Wrath」は16GB無いと辛いです。

ポート類

DisplayPort

2019年以降のPC用HMDは、DisplayPort接続が標準になりました。

Oculus Questシリーズという例外を除けば、PC用HMDはDisplayPortが無いと動きません。Oculus Questシリーズを卒業して次に移る場合に、DisplayPortが必要になります。

本体にDisplayPortが付いている必要があります。USB Type-CがDisplayPortを兼ねるモデルでは、PC用HMDが動かない可能性があります。

詳しくは下記の記事にまとめています。

※厳密にいえば、USB Type-CのDisplayPortがGefoceにつながっているのならば使えます。パンフレット等にも記載が無い場合がほとんどです。判断基準として、DisplayPortがあるPCという考え方で良いでしょう。

USB

最低限1ポートが空いていれば良いので、USBの数は気にしなくても良いです。

Thunderbolt3 or Thunderbolt4

PC用HMDを動かすだけならば、無くても良いです。

ただ、「思ったよりもVRにはまった!」「次のモデルが出たけど、PCのスペックが足りない!」といった時に、Thunderbolt3のポートがあれば、GPUボックスを追加し、ノートPCを強化することが出来ます。

Thunderbolt3(もしくはThunderbolt4)に対応したノートPCは、後々延命を計ることが出来ます

見るべきスペックまとめ

前述の見るべきスペックをまとめます。

項目見るべきスペック
GPUGefoce GTX1660以上
CPU気にする必要なし
メモリー気にする必要なし(8GB以上、16GBあれば尚良し)
ポート類DisplayPort必須(USB Type-C共用はダメなものが多い)
(Thunderbolt3かThunderbolt4があれば尚良し)

比較サイトで調べるのならば、GPUがGTX1660以上で、DisplayPortを持ったものを選べば良いでしょう。

なお、MicrosoftのSurface Book 3のように高スペックのGPUを積みつつも、DisplayPortが無いのでPC用HMDが使えないPCもありますので、ご注意を。

上記のSurface Book 3では、スペック的にはOKでも、ポートが無いのでOculus Questシリーズしか動かせません。

コスパ重視のノートPC

とにかく出費を抑えたいという場合、GPUがGTX1660以上であるかどうかが判断基準となるでしょう。

Thunderbolt3に対応していないモデルが比較的安価です。ただし、購入後に性能の今日は出来ないので、映像に物足りなさを感じれば買い替えとなるでしょう。

GALLERIA「GCL2060RGF5」:RTX2060搭載:,980(税別)

最近商品群を整理したドスパラのゲーミングノートPCです。Geforce 1660よりも格上のGeforce RTX2060を積んで10万円強!

Thunderbolt3は積んでいませんが、GPUも底辺の物では無いので長く使えるしょう。

DisplayPortを2つ持っている珍しい仕様です。

主要スペック

PC用Oculusアプリの、推奨スペック以上の描画能力があります。メモリーも16GB積んでいますので、メモリー不足で悩むことは無いでしょう。

項目内容※
CPUCore i5-10300H
メモリー16GB
GPUGeForce RTX 2060
Thunderbolt3なし
画面出力ポートHDMI x1、miniDP x2
ストレージSSD:500GB
※モデルによって変わります。

VRスコア・コスパ

項目スコア
VRスコア
数字が高いほど高性能
144
VRコストパフォーマンス
数字が高いほどお得
136
※価格は、2020/12/03の価格税込み\109,978から算出

VRスコア・VRコストパフォーマンスの算出ルール

ドスパラで詳細を見る

TUF Gaming A15「FA506IU-R9G1660T」:GTX1660Ti搭載:8,000(税別)

CPUにRyzen 9 4900Hを積んだハイコストパフォーマンスモデルです。PC用Oculusアプリの、推奨スペック以上の描画能力があります。メモリーも16GB積んでいますので、メモリー不足で悩むことは無いでしょう。

主要スペック

項目内容
CPURyzen 7 4900H
メモリー16GB
GPUGeForce GTX 1660Ti
Thunderbolt3なし
ストレージSSD:512GB

VRスコア・コスパ

※Ryzen 9 4900Hのデータが揃っていないため、Ryzen 7 4800Hのデータから算出しています。実機はよりスコアが伸びると考えられます。

項目スコア
VRスコア
数字が高いほど高性能
138
VRコストパフォーマンス
数字が高いほどお得
110
※価格は、2021/01/09のFA506IU-R9G1660Tの価格、税込み\129,800から算出

ASUS Storeで詳細を見る

同シリーズのレビュー

延命も視野に入れたPC(Thunderbolt搭載)

Thunderbolt3かThunderblot4があると、いざとなったらGPUボックスが使えますので、ノートPC自身を長く使えるメリットがあります。

Thunderbolt3かThunderblot4を搭載したPCは、非搭載PCの2~3万円アップします。相場としては、12~13万円程度を狙えば良いのですが、今(1月前後)はモデルが更新される時期にあたるため、思わぬ掘り出し物も!

DELL G3 3500モデル

DELLの直販サイトでは頻繁にセールをやっています。

現在(2021/1/9)、Amazonで税込みで10万円強!

3500モデルは、最新の第10世代Core i7を搭載しています。

DELL直販サイトでのDELL G3は標準のGPUがGTX1650です。購入時には、GPUがGTX1660Tiであることを確認しましょう。

項目参考スペック※
CPUCore i7 10750H
GPUGTX 1660 Ti
メモリー16GB
Thunderbolt3あり
※モデルによって変わります。

VR性能・コスパ

項目スコア
VRスコア
数字が高いほど高性能
134
VRコストパフォーマンス
数字が高いほどお得
128
※価格は、2021/1/9の価格税込み\108,600から算出

VRスコア・VRコストパフォーマンスの算出ルール

まとめ

VR体験が出来るPCを購入する場合、以下の2点に注目して選びましょう。

VR用ノートPCの選び方

  • GPUがGeforceシリーズ GTX1660以上(GTX1070, GTX1080, RTX2060, RTX2070, RTX2080)
  • DisplayPortがある(USB Type-C共用はダメ)

現在(2021/1/9)の価格帯としては税込み10万円強~くらいのイメージです。

個人的には、2020年6月にRTX2060を積んだDELL G5 5500を購入し使用しています。スペック的に高画質を求めることは出来ませんが、Oculus Quest 2をOculus Linkで接続して、十分の楽しめています。

直販サイトは早ければ週替わりでセールをやっています。買いたい時が買い時なのかもしれませんが、ちょっと様子を見てみるのも良いかもしれません。

(追記:2020/7/8)GPUの動作状況の確認方法

頂いたコメントに対する回答です。AMD RyzenとGeforceが競合している場合は、下記の記事を参考にしてください。

タスクマネージャーを使う方法

タスクバーを右クリックして、タスクマネージャーを表示します。

タスクマネージャーのリボンの部分を右クリックして、「GPUエンジン」にチェックを入れます。

GPU1、GPU2がそれぞれどのGPUに対応しているのかは、「パフォーマンス」のタブを見るとGPUの名前が分かります。

GPUアクティビティを見る

NVIDIAコントロールパネルのメニューの「デスクトップ」をクリックして、「GPUアクティビティ アイコンを通知領域に表示する」にチェックを入れます。

タスクバーの通知領域に、カラフルな四角いアイコンが表示追加されます。これをクリックすると、NVIDIAのGPUで動いているアプリの一覧が表示されます。

複数のGPUボードを積んでいる場合は、タブ表示されます。

起動したアプリがこの欄に表示されていない場合、NVIDIAのGPUでは動いていません。

強制的にアプリが使うGPUを指定する方法

NVIDIAのGeforce限定の話です。

NVIDIAコントロールパネルのメニューの「3D設定の管理」を開き、「プログラム設定」タブに移ります。

「カスタマイズするプログラムを選択する」のリストから、GPUを指定したいアプリを選びます。

バージョン8.1.958.0では、GPUを選べるのは2項目。「CUDA – GPU」と「OpenGL レンダリング GPU」の設定のみです。

PhysXの設定

PhysXとは、GPUの計算能力を使って、GPUの代わりにプログラムを動かしてしまおうという機能です。

PhysXを設定しておくと、ゲームで爆発の演出や破片の飛び散りなど、リッチな映像用の計算をすることが出来るようになります。本来反面、元々余裕がないGPUを設定した場合は、GPUの仕事を肩代わりしている分だけ、GPU本来の仕事である映像を作る能力が落ちるようです。

設定自身は、NVIDIAコントロールパネルの「Surround、PhysXの設定」の中の「PhysX設定」から選ぶことが出来ます。

基本は、自動設定で問題ないでしょう。